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「辛くならへん？」
「なってもいい」
マスターが私の唇に、
指先で触れた。
顔が傾いて、
すぐに、唇と唇が重なり合う。
忘れないで。
離れても。
忘れ、ないで。
こんなに、見つめ合った時を。
私の人生の、たった一つの夏だった。
これからも、こんな季節は二度と来ない。
「A、これ。
持っといて」
マスターがつけてた指輪を外して、
私の手のひらに握らせた。
「いいの？
大切な物なんでしょ？」
「東京に出てく時に作った物やねん。
覚悟を決めた、気持ちの結晶いうか、」
「そんな、大事な物、」
「Aに持ってて欲しい」
「私も、プレゼントあるの。
章大の誕生日の。
おめでとう」
ずっとポケットに隠してた、
ギターのピッグ。
無数の星が、
ブルーの小さなピッグに敷き詰められてる。
近くの楽器屋さんで見つけたの。
「ありがとうな。
大事にする。
俺のお守りやな」
マスターの携帯が鳴った。
「もう行かんと・・・」
「・・・」
泣かずに、笑ってたい。
やり場のない寂しさや不安、
全部、自分の中に閉じ込めて、蓋をして。
顔を上げて、微笑んだ。
「マスター、ありがとう。
ひと夏だったけど、幸せだった。
大好きだよ」
「A・・・」
「ちゃんと待ってるから。
七夕の夜、迎えに来てね」
笑顔で送り出したいんだ。
マスターが辛い時、思い出せるように。
だって、本当のさよならじゃないから。
「A、俺の方こそ、ありがとう。
こんな夏は、一生に一度やった」
過去形で話すマスターが、
切なくて。
その首筋に抱きついて、
自分から最後のキスをした。
離れかけたら、
マスターからまた優しく触れられて、
いつまでも離れられない。
「会われへん分まで、キスしたな」
唇が離れて、マスターが笑った。
また携帯が鳴って、
抱いてた腕を解かれる。
その瞬間に、
身体を切り刻まれてるかのような痛みが走った。
もう、泣くのを堪えるのは、無理だから。
最後は、
「マスター、行ってらっしゃい」
私からそう言った。
「行って来ます」
扉が開いて、閉まる。
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美穂(プロフ) - マスターも更新！有難うございます。 (2020年10月12日 0時) (
レス) id: f4c26da760 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - foolさん、更新ありがとうございます！！待ってましたーー！！マスター会いにきてくれて2人がクリスマスを一緒に過ごせて嬉しいです。今、最初からまた読み直してみました。幸せな気持ちと切ない気持ちとまた幸せな気持ちと…色んな感情が…今後も楽しみにしています。 (2020年10月11日 22時) (レス) id: eb998853f9 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - ついに…やすくん来てくれたんですね！！ちょうど良いところで続きに…(*/∀＼*) 主人公も東京の会社に就職とは！やすくんと距離も近くなれそうな…！そわそわしてきました！笑 続きも楽しみです！ (2020年5月14日 2時) (レス) id: 22258ff530 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 更新ありがとうございます。大阪のライブのあと2人が会えますように…ハラハラドキドキしてます。メンバーの中に相談できる相手が居て良かったです！｡･ﾟ(ﾟ⊃ω⊂ﾟ)ﾟ･｡ (2020年5月12日 13時) (レス) id: 22258ff530 (このIDを非表示/違反報告)
亜季(プロフ) - マスター私も会いたいよー！会いに来てー！ (2020年5月11日 22時) (レス) id: a8bccc7358 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：fool x他1人 | 作成日時：2020年3月4日 7時
