カフェオレ。*03 (ページ10)

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22号《Sside》ページ10

「はぁー…」

「…」

「はぁぁぁー…」

さっきから、うちの…というか、俺たちの家のソファーでため息を吐いているのは、恋人の智くん。

あ、どうも、申し遅れました。僕です、櫻井です。

「アジ…サヨリ…スズキ…タチウオ…」

「…台風なんだから、ね？」

そう、智くんは、だいぶ前から船長と約束していた釣りが台風でおじゃんになってしまったことを、物凄く、ものすごーく、根に持っているのだ。

…まぁ、俺としては不謹慎ながら、少しラッキー！ってなってるわけなんだけど。

「しょうがないよ、今日は家にいよう？」

そう優しく笑いかける俺。

…なのに。

智くんといえば、チラッと俺の顔を見るや否や…。

「…はぁぁぁー…」

ため息！ため息吐きやがったぞコイツぅ！！

「…何、俺と一緒じゃ嫌なわけ？」

思わず、嫌味な言い方をしてしまう。

…あぁぁ…こんなつもりじゃなかったのに。

「や、あの…」

「…ごめん、頭冷やしてくる」

風の音がうるさい。

窓に打ち付ける雨が、今の俺の心を表しているようで。

　

「翔くん…」

「ごめんね、あなたは悪くないのに、咎めるような言い方しちゃって」

「翔くん」

「俺、外出るから。絵でも…」

「…翔っ！」

「っ、何…？」

驚いた。

気がつけば、目の前のあなたが、泣いているように見えて。