.《Oside》 ページ36
人混みを抜けて、屋台の少ない外れを歩く。
「ん、かき氷」
「…ありがと」
もう半分溶けかかったかき氷を渡す。
…かき氷を受けとる翔くんの、赤くなった腕に心が痛む。
「…ごめん」
「…え？」
くるり。
振り向いた翔くんと目が合う。
「…おいらが、祭り行こう、って言わなきゃ、あんな目合わずに済んだのに…」
翔くんが、驚いた様に目を見開いた。
「…智くん…」
「…ごめん、翔くん、おいらが…」
「っ、智くん！」
ぎゅっと、後ろから抱きつかれる感覚。
…今、おいらに抱きつく人なんて、ひとりしかいない。
「…まだ、“翔ちゃん”だよ」
「！」
抱きつかれる力が強くなる。
「…デート、しようよ、智くん」
…そうだった。
今の“翔ちゃん”は女の子で。
おいらはバイ○ンマンで。
まだ、デート中なんだ。
「…ありがと、翔ちゃん」
やっと、翔ちゃんの顔に笑顔が戻って、おいらの隣に立ってくれた。
「手、繋ごっか」
翔ちゃんと手を繋いだ瞬間に、空に、大輪の花が咲いたんだ。
「わぁ…！」
久しぶりに見る花火は、すごくすごく綺麗だった。
「綺麗だね」
「うん、いつも部屋からしか見ないもんね」
あちこちから歓声が上がる中、おいらと翔ちゃんは二人、ただ花火を見つめてた。
「智くん」
「ん？」
「…連れてきてくれて、ありがとう」
えへへ、と本当に嬉しそうに笑う翔ちゃんに、堪らなくなって。
「…ここなら、誰にもバレないよな」
「え？…っんぅ！」
可愛い可愛いおいらの恋人を抱き寄せて、お面を上げて、そっとキスをする。
そのキスは、甘ったるいイチゴシロップの味がした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 421人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
salt_*(プロフ) - 御風 和葉さん» ありがとうございます!!めちゃくちゃ嬉しいです(*^^*)可愛いを意識しました!!←お、いいですね、私も 言えば良かったです笑 (2016年4月4日 22時) (
レス) id: 50d790f726 (このIDを非表示/違反報告)
御風 和葉(プロフ) - 作品いつも見させて頂いてます！翔くん智くん可愛すぎです♪私はエイプリルフール、彼氏できたって言いました笑 (2016年4月4日 19時) (レス) id: b5efad5e39 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：salt_* | 作成日時：2016年4月3日 0時
