お似合い。【BTS】 (ページ8)

今日:6 hit、昨日:0 hit、合計:45,190 hit

8 ページ8

オッパは本当にわからない人。

別れたのに、距離をとろうしたら嫌だって。
私がオッパにそんなこと言われたら断れないの分かってて言ってるんでしょ。理由なんて分からなくてもオッパがサロンモデルを続けてほしいと言ったら

「…分かった。辞めないことにする。」

思考回路なんて通らずに勝手に言葉がでていく。

TH「ほんと！？良かった。店長には俺が言っとく
ね。」

オッパはそう言って私の髪を少し撫でて四角い口で笑った。

…

…

TH「はい。出来たよ。」

「わぁ…！」

TH「Aはこういうのも似合うかなって思って」

鏡を見てびっくり。これ私…？

いつもこげ茶系の暗めの色をしていた私の髪は、ミルクティーの様なハイトーンに。
毛先も綺麗に切りそろえられていて付けてもらったヘアオイルがふわっと香る。

「すっごい可愛い髪色！ほんとにありがとう！」

TH「ほんとに似合ってる。さすが俺、分かってる
な～」

ポーズを決めながら、満足そうな顔をうかべるオッパ。慣れた手つきで髪を乾かしてくれて、ケープを外している。

…帰りたくないな
なんて少し思ってしまった私は、目が合わないようにオッパの姿を見ていた。

…

…

「今日ありがとう。」

TH「うん。気をつけて帰ってよ。」

「はーい。仕事がんばってね。」

付き合っていた頃と何も変わらない会話を交わして
お店を出たあと、何故か真っ直ぐ帰る気にはなれなくてよく行っていたお気に入りの喫茶店に寄ることにした。

喫茶店への道をぼんやり考え事をしながら歩いていく。

やっぱりオッパは変わってなかった。

壊れ物を扱うように優しく髪を触るところも、最近お気に入りの映画とか音楽の話をしてくれるところも、私がお店を出ても姿が見えなくなるまで中に戻らないところも。

…でもひとつだけ。

帰り、店の外で周りの人に気づかれないようにそっと唇に落とされるキスが無かったこと。

少し、ほんの少し。私は期待してたのかも。

寂しさの残る唇に触れたら、今日は1番お気に入りのリップを付けていたことを思い出した。
オッパが似合うねといつも言ってくれてた淡い赤のリップ。

私はどこまで、いつまでオッパに依存してるんだろう。