雅 -miyabi- 第1章 (ページ45)

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＜ケンカ③＞
ZM side

Prrrrr Prrrrr…

珍しい名前を見つけて
お風呂から上がった僕は電話を取った

ZM『はい？』

ウニョクからだった
Aがヒニム兄さんと喧嘩したから
Aを泊めて欲しいとのこと

ZM『大丈夫だよ、なにもしないから』

笑って電話を切る

HL『ヒョクチェ兄さん、なんだって？』

隣で聞いていたヘンリーが
不思議そうな顔をしていた

珍しいもんな
ヒョクチェが俺らにお願いするなんて

ヘンリーにも事情を説明し
迎える準備をしておく

ピンポーン…

ZM『はいはーい、いらっしゃーい』

『………』

Aはヒョクチェから離れると
俺の後ろに隠れた

その姿が可愛くて思わず苦笑いした

ヒョクチェが帰ってからも
ずっと無口なA

そのむすっとしてる顔も
また可愛いと思ってしまう

ヘンリーは明日の早朝に
中国へ向かわなくてはいけなかったので
すぐに部屋に戻っていった

俺はリビングのソファでうずくまるAに
暖かいココアを出した

ZM『はい、A』

『……………ありがと』

俺もAの隣に座り
ココアを一緒に飲む

すると、コテンと
俺の肩に頭をあずけるA

『ねぇ、オッパ、
私、間違ってたのかなぁ…』

ZM『なんで？
Aは遊びたいお年頃でしょ？』

だけど…って言葉に詰まって黙り込む

いいよ、君が答えを導き出せるまで
ずっとこのままでいてあげるから

いっぱい悩んで
そして、俺たちを頼ってほしい

俺もヒニム兄さんもヒョクチェも
君の兄さんなんだから

『…………ヒチョルオッパやヒョクオッパに
迷惑かけるつもりなんてなかったのに…』

ZM『うん』

『ママやパパがいれば、違ったのかな……』

ZM『………』

初めて、Aの口から
Aの両親の事を聞いた

そういえば、事故で亡くしたんだっけ？

俺は、出来る限り
質問をしないでAの話を聞いた

だけど、Aは眠くなってきたようで
話の途中でスヤスヤと眠ってしまった

ZM『ふふ、疲れた、よね……
ゆっくりおやすみ、A』

Aの髪をそっと撫でて
ゆっくりと体を倒し
そのままソファにAを眠らせた

時計を見ると、深夜4時
そろそろ、ヘンリーが準備しだす時間かな

そう思いながら
俺は自分の部屋に戻った