テラス席の彼。(緑) (ページ13)

今日:8 hit、昨日:3 hit、合計:238,616 hit

13杯ページ13

.

入口に目を向けると、綺麗なお兄さんがまた本を1冊片手に立っていた。

『あ！こんにちは！そうなんです！店長に任せていただいてて‥‥！』

大「そーなんやぁ～。いつも綺麗やもんね、すごく、好き。」

(ドキッ)

優しい顔で目を見て、好き、なんて言われて勘違いしてしまいそうになる。お花が好きなだけだ‥‥
少し跳ねた心臓を落ち着かせたあと、

『いつもの席どうぞ‥‥！』

大「ありがとう。‥‥じゃあ、いつもので笑」

『はい‥‥！』

_________________________

『テラス席1名様です～！』

村「はい～！お、お兄さんやん！それ持っていったらパスタ食べてええよ～！」

『ありがとうございます！』

トレーにお水と灰皿とコーヒーを乗せる。そして、

『(栞、栞っと、、、)』

大切にファイルに入れていたお兄さんの忘れ物の栞を手に持ったままテラスに出る。

『おまたせいたしました。あ、あと、これ、この前お忘れではないですか？』

大「あ、そう！！え、！無くしたと思ってた、ありがとう～！！！」

『良かったです！大切に使ってる物なんだろーなって思ったので…』

大「捨てられてもおかしくないもんやでこんなん‥‥ほんまありがとう‥‥(ニコッ)」

『あ、いえ、///、ごゆっくりどうぞ‥‥！』

店内に戻ろうとした時、

大「お姉さんはさ、こんなお昼間に仕事してるけど、学校は今日はお休みなん？午前だけとか？」

『へ？』

大「え、あ、や、ふと思っただけで‥‥」

『あ、私学生に見えます？だとしたら、嬉しいです笑』

学生時代からずっと童顔だと自覚していて、コンビニやスーパーでお酒を買ったりすると今でも身分証明書の提示を求められる。

若く見られるのは嬉しいことだが、いつもそれだと、子供っぽいのかなあと、ないもねだりな大人っぽさを求めてしまうのが天邪鬼な人間のサガだ。

大「えーー！ごめんなぁ！ずっと学生さんやと思ってたぁ～。」

『気にしないでください！！よく言われますので‥‥！』

大「え、俺より年上、な、わけないです、よね？笑」

ずっと砕けた喋り方だったのに、急にたどたどしい敬語になったお兄さんを可愛いと思ってしまった。

.