ひとつ屋根の下 Part8

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しめを車椅子に乗せて足にはブランケットをかけて体を冷やさないように、俺なりに慎重に準備を進めた。もう、自分の力ではほとんど体を動かせなくなったしめはテンパる俺にされるがまま。



海人) 大丈夫？なんか変なとこない？


しめ) 大丈夫だよ、ありがと海人


海人) いや、別に俺はなんもしてないけど


しめ) 今日は久しぶりに思い出作りだぁ


海人) 思い出作りってただの散歩だけど、



家を出て近所をちょっとだけ散歩する。車椅子を押して、特に中身のない会話を続ける。それなのに俺は楽しくて嬉しくて、幸せだった。



通り過ぎる人が俺たちのことをちらちら見ているけど、俺にはこの世にたった2人、俺らだけの世界を散歩している気分だった。



海人) よし、そろそろ帰ろっか、


しめ) うん.....もうすぐ日も落ちるし


海人) 暗くなる前に帰ろうな、


しめ) あっ.....ちょっとだけ.....待って.....


海人) うん、どこか、行きたいところある？


しめ) やっぱ....いいや、帰ろっか


海人) いいの？俺は時間ならいくらでもあるけど


しめ) ううん、大丈夫、もう十分だよ



車椅子に乗るしめと、それを後ろから押す俺とでは目が合うこともないし、表情も分からない。今しめがどんなことを考えていて、どうしたいのか、この時の俺には分からなかった



家についてベットに寝かせるとすぐに眠りに落ちた。こうして家を出て2人で時間を過ごしたのは今日が最後だった。



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