ひとつ屋根の下Part5

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それから1ヶ月もしないうちに海人はこの世を去ってしまった。それから何年も経つけど、やっぱり弱い僕だから彼との思い出は心の奥深くにしまっていた。



川島) あっ、懐かしいなぁ



タイムカプセルの中には当時流行ってたカードとか、海人が入れたであろうよく分かんない葉っぱとか。その中に入ってる2通の手紙を見つけた。



川島) おとなのぼくへ......なかむらかいと.....



まだ覚えたての字で封筒に書かれた文字を読み上げる。懐かしい名前に、懐かしい字。感じるはずのない体温と匂いがする。



川島) おとなのぼくは、なにしてますか.....



そんな1文から始まった手紙。大人になれなかった彼のことを思うとしまい込んでいた気持ちが溢れそうになる。弱い自分が顔を出すんだ。



彼のことになると強い僕ではいられなかった。彼がこの世を去った時も、彼と会えない日々が続く今も変わらない。



『如恵留くん！早くして！』



彼が僕を呼ぶ声がどこからか聞こえてくる気がする。僕の手を握ってぐいぐいひっぱってはこっちを見て何かを企んでるかのように笑いかけてくる顔をしてる。



川島) 海人、寂しいよ



誰に届くこともないその声は、虚しくも風の音に掻き消された。その風は妙に暖かくて、頬を伝う涙を拭いてくれた。



『俺は笑った顔が1番好き！』



そんな聞こえるはずもない彼の声に背中を押されて大切なタイムカプセルの蓋を閉じた。それと同時に弱い自分に蓋をして、強い自分を身に纏う。



明日もまた、彼のために生き抜くんだ＿＿＿＿

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