ひとつ屋根の下 Part10

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閑也side



エントランスの掃除をしながらちゃかちゃんの到着を待つ。ちゃかは俺が担当する中でもかなり障害の重い方だ。脳性麻痺による四肢麻痺と他にも色んな医療的ケアが必要な状態だ。



しめ) おはよう、今日はよろしくお願いします


閑也) そのまま仕事？頑張ってね、


しめ) 今日あんまり調子良くないかも、


閑也) わかった、注意してみとくね


しめ) お願いします、なるべく早く帰るよ


閑也) うん、行ってらっしゃい！



働きながら弟の世話をしているしめは相当無理をしていると思う。大学進学と同時に家を出てしばらくは弟とも関わっていなかったわけだし、突然の環境の変化に戸惑うのも無理はない。



閑也) おはようございます、今日は晴れだねー


胸の当たりを擦りながら聞いてみると大きく2回瞬き。しめからの連絡帳を見ると朝から不随運動が多くて本人は少しだけしんどそうだと書いてあった。



合併症としててんかんを持っているちゃか。不随運動が多い日は少し注意して観察する必要がある。今日はリハビリもやめて置いた方がいいかな



閑也) 今日はリハビリやめておこうか、



その言葉を言った瞬間、眉間にぐっと力を入れて顔をしかめる。これは彼なりの全力の否定。



閑也) でも、体しんどくなっちゃうよ、



そう言っても表情は変わらない。最近は一段とリハビリを頑張るようになったちゃか。本人も環境の変化や周りの忙しない動きを少なからず感じ取っているのだろう。



閑也) じゃあマッサージとおしゃべりだけね



少しだけ表情を緩めてくれたちゃかちゃんの手を握る。ぴくぴくと小さく動いているのは、調子の悪い証拠だ。なるべく刺激しないように、温めてあげるように優しくマッサージする。



閑也) やっぱり今日はゆっくりしてようよ


宮近) ......んっ......や.....


閑也) え？嫌なの？


宮近) ........んん.....



まだまだ発語はほとんどないちゃかちゃんだけど、嫌だという意思表示は少しずつできるようになってきた。これも、大きな進歩だと俺は思う。



閑也) そっか嫌かぁ、しめが来るまで休憩しよ？



結局ちゃかの懸命なイヤイヤには勝てず、昨日と同じリハビリメニューを行った。本人満足気な顔をしているけど、体は疲れたの筋緊張が強くなった気がする。



しめ) かいとーただいまー



夕方になってしめが迎えに来ると分かりやすく明るい表情になるちゃかちゃん。俺に向けていたイヤイヤの顔とは真逆の表情だ。


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