少年たちよ駆け上がれ ページ31
・
4月も上旬になった頃、クローバー王国では一つの催しが行われる。4月から3月末の一年間に取得した星の数を発表して、その年の一位の団を決める祭り__星果祭。
我らが団長もいつになく乗り気で、暴牛の面々は王都へ向かった。気高く品のある街並みも今日ばかりは縁日特有の賑わいがあった。順位発表は20時からなので、それまでは各々が好きな出店へと足を運んだ。
自分はどこへ行こうかと辺りを見渡しながら歩けば、酒を出してる店を見つけた。その中で見覚えのある酒瓶を見つけて出店に足を向ける。
「おじちゃん、この酒…」
「嬢ちゃんお目が高いね。こいつァ珍しい酒でね、アルコールは高いが癖になる。」
「1回だけ飲んだ事ある。名前は忘れたけど…」
「アンタまだ未成年だろ」とケラケラ笑いながら男は酒瓶を手に取りジョッキに移した。案外ザルだな、祭りだしな、と適当なことを思う。
「悪い大人にでも勧められたか?」
「…そんなとこ。」
クローバー王国に来る前の話だ。師匠が敵軍で見つけてきたらしい酒瓶を手に上機嫌で帰ってきた。その時の酒がこれだ。ただでさえ褒められた酒癖じゃないので、面倒極まりなかったのを覚えてる。味は美味かった。
そんな事を思い出していれば、成績発表の時間になり人々が湧き立つ。一位は例年通り金色の夜明け団。二位は銀翼か紅蓮だろう。うちはどうせ最下位だと思っていれば、次に呼ばれたのは黒の暴牛で耳を疑った。酒屋のおじちゃんと間抜けな顔で見つめ合う。マイナスぶっちぎってた黒の暴牛が二位とは何のバグだ。
「知らん間に不正でもしたかなぁ…」
「あははっ!自分達を信じてやりな嬢ちゃん!魔法帝がお呼びだ。行かなくて良いのかい?」
豪快に笑う酒屋のおじちゃんを一瞥してから酒を仰いだ。
「今期にすんげー新人入ったの。そいつが登ったらいい。」
100人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ラッシーはん(プロフ) - 待って返信きた!?すごく続きも楽しみですし書き方参考にさせて頂いてます!!対比しているってとこはアスタ=近距離主人公=遠距離みたいなもんですかね!間違ってたらゴミ出しに出されてきます。そして畑の肥やしに生まれ変わってきます。無理なさらず頑張ってください!! (6月6日 20時) (レス) id: 848084950d (このIDを非表示/違反報告)
Hana(プロフ) - ラッシーはんさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!もう一人のアスタの話だと思って読んでいただけたらと思います。対比してる部分も作りたいなぁと思ってるので、楽しみにしていただけたら嬉しいです! (6月6日 15時) (レス) id: 906e49b810 (このIDを非表示/違反報告)
ラッシーはん(プロフ) - こんなに短く簡潔で面白くて凄いです!!めっちゃ応援してます!! (6月5日 2時) (レス) @page2 id: 722157c700 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Hana | 作成日時:2023年6月2日 22時