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毒日和 ページ4




式を終えた後は簡単な席を設けてあるからと、そう言い残したユリウスは、用事が出来ただとかでどこかへ行ってしまった。空気は重く、お世辞にも楽しいとは言えない。そう思ったのはクラウスだけではないだろう。先程から感じる視線が痛い。
品性の欠片も感じない態度のアスタに、アレクドラは眉を顰めた。何故こんな場所に卑しい下民がいるのだと。あまりに勝手な物言いに、クラウスが反論に出たが、アレクドラに一蹴されてしまう。彼の口から出た言葉は否定できないものだったので尚更口を噤んだ。

「いやいや一番場違いな役立たずはァ〜…オマエだよなァァ〜〜??なァァノエル〜〜」

血の繋がった妹に向けるものではない。シルヴァ家次男の手には水の入ったグラスがあった。ノエルの頭上でそれをひっくり返すよりも先にAが彼女の腕を引く。もう片方でピストルの引き金を引きた。Aの狙い通り、弾はグラスを貫通する。下に落ちるはずだった水はソリドの手を濡らした。舌を鳴らすソリドなど構いもせずに、Aの視線は手元の料理から動かない。その生意気な態度が気に入らなかった。

「兄妹喧嘩なら他所でやるんだな。」

ソリドには一瞥もくれずにそれだけ告げた。これで何も起こらずに終わればいいと願ったクラウスだったが、ネブラとノゼルがソリドに続いた。
兄妹からの言葉に堪らず逃げ出そうとしたノエルの腕をアスタが掴んだ。怒気を含んだ声が部屋に響く。アスタの言葉を遮るように土魔法が襲った。それをものともせずに反魔法で打ち消す。

「いいかコンチクショー!オレは必ず実績を積んで…魔法帝になってオマエら全員黙らせてやる!!」




身の程も弁えず、魔法帝になるだなんてほざいた下民に腹が立った。魔力も持たない汚らわしい下民が、信じて疑わずに魔法帝になるなんて笑わせる。アレクドラ、ネブラとソリドが同時に魔導書(グリモワール)を開いた。剣を構えたアスタだったが、彼らの魔導書は、彼らが魔法を発動する前に弾かれた。乾いた音のした音源を辿れば、こちらに見向きもせずにいるAが銃口を向けていた。

世知辛い世の中なんてやってられない→←唯一無二の狙撃手



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ラッシーはん(プロフ) - 待って返信きた!?すごく続きも楽しみですし書き方参考にさせて頂いてます!!対比しているってとこはアスタ=近距離主人公=遠距離みたいなもんですかね!間違ってたらゴミ出しに出されてきます。そして畑の肥やしに生まれ変わってきます。無理なさらず頑張ってください!! (6月6日 20時) (レス) id: 848084950d (このIDを非表示/違反報告)
Hana(プロフ) - ラッシーはんさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!もう一人のアスタの話だと思って読んでいただけたらと思います。対比してる部分も作りたいなぁと思ってるので、楽しみにしていただけたら嬉しいです! (6月6日 15時) (レス) id: 906e49b810 (このIDを非表示/違反報告)
ラッシーはん(プロフ) - こんなに短く簡潔で面白くて凄いです!!めっちゃ応援してます!! (6月5日 2時) (レス) @page2 id: 722157c700 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Hana | 作成日時:2023年6月2日 22時

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