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1%の希望は捨てずに ページ29




アスタの腕は二度と治らないらしい。その話を聞いたのは珍しくヤミが賭場でボロ勝ちしてきた夜だ。団長の奢りで豪勢な夕飯となった。アスタが今日は疲れたからこれで失礼すると部屋へ戻った後、フィンラルは重い口を開いた。古代の呪術魔法がかけられ、骨も粉々になってるのも相まって今の魔法では治せないらしい。国一番の回復魔道士が言うのでは間違いない。
幼なじみと競い合って魔法帝を目指す少年には中々ハードな現実だった。が、生憎アスタはその程度の現実でへこたれるようなヤワな男でもなかった。珍しく落ち込んでるかと思って様子を見に来たが必要なかったらしい。
そんな後輩の気合いを見て黙ってるような黒の暴牛ではない。各々がアスタの腕を治す方法を探しに、絶賛火の中水の中へと奮闘中である。

「クローバー王国から遥々ご苦労だな。」

暗に「チンケな後輩一人の為に」と言われている。実際そうなので反論は出来ない。

「あんたは先生の師匠だって聞いた。呪術魔法にも精通してるとも。」
「あのお喋り弟子め…」

呆れたと言わんばかりの口調で男は呟いた。私がクローバー王国に来る前に世話になった老医の師匠だというこの男は一体歳はいくつなのだろう。どうでもいい疑問が浮かんだが、今はそんな事を気にしてられない。
ふぅ、と紫煙を吐き出した男は徐に口を開く。

「確かに俺は呪術魔法にも精通しちゃいるが、それが古代の魔法となりゃ話は別だ。クローバー王国一番の回復魔道士が無理つったんだろ?」
「だから来たんだけど…その様子じゃあんたも無理なんだな。」

間違ってないが、ド直球に無理だと医術のど素人に言われると腹が立つ。男は顔を顰めながら渋々頷いた。ワンチャンにかけて遥々来てみたが、結果はAも予想は付いていた。オーヴェンがどれほど優秀な回復魔道士なのかはAも知ってる。その男が治らないと言ったのだ。治療法を探すと意気込んだは良いが、そう簡単に見つかるとも思ってなかった。

「仲間も他を探してんだろ。そっちに期待だな。ま、希望は少ないが…」

残酷で愉快→←過去の栄光を取り戻せるか



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ラッシーはん(プロフ) - 待って返信きた!?すごく続きも楽しみですし書き方参考にさせて頂いてます!!対比しているってとこはアスタ=近距離主人公=遠距離みたいなもんですかね!間違ってたらゴミ出しに出されてきます。そして畑の肥やしに生まれ変わってきます。無理なさらず頑張ってください!! (6月6日 20時) (レス) id: 848084950d (このIDを非表示/違反報告)
Hana(プロフ) - ラッシーはんさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!もう一人のアスタの話だと思って読んでいただけたらと思います。対比してる部分も作りたいなぁと思ってるので、楽しみにしていただけたら嬉しいです! (6月6日 15時) (レス) id: 906e49b810 (このIDを非表示/違反報告)
ラッシーはん(プロフ) - こんなに短く簡潔で面白くて凄いです!!めっちゃ応援してます!! (6月5日 2時) (レス) @page2 id: 722157c700 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Hana | 作成日時:2023年6月2日 22時

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