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絶望も美味しく戴く悪魔 ページ24




遠距離から放たれた魔封石に、ヴェットの腕からアスタが離れていく。アスタの腕はもう使い物にならない。唯一の武器を扱う術を奪ったと言うのに、少年の目は相変わらず死んではいなかった。魔力が全ての世界で、魔力を持たずして生まれた少年は、きっとこの世界で上に行く男だと、バネッサは確信していた。ならば、彼を戦わせて導いてやらなくては。
折れた腕を糸で補強する。ミシミシと嫌な音を立てる腕を知らないフリして、歯を食いしばった。特段先程よりスピードが上がった訳ではない。人間の力などたかが知れているはずなのに、アスタの動きをヴェットは捉えられなかった。ヴェットの脇腹に刺さった宿魔の剣が、身体能力を上げていた魔力が弱まっていた。あれだけの攻撃魔法を使っていれば、いくらヴェットといえど魔力の消費は激しかったはずだ。
魔力の鎧と絶対的自信に綻びが生じて、ヴェットは初めて悪寒を感じた。魔力の無いチンケな少年に絶望をも喰らう悪魔を見た。





ヴェットの魔力が消えたのを感じて、Aはライフルを下ろした。勝負はアスタが勝ったらしい、と思ったのも束の間で、膨大な魔力を感じて顔を顰める。ネアンの洞窟で、リヒトが起こした魔力の暴走と似ている。だが規模はそれ以上だ。神殿ごと自爆する気だと察するのに時間はかからなかった。団長格でも止められなかった魔法…これは無理だな、と他人事のように思った。そこで漸く魔道具に目を落としたAは、ヤミの居場所が移動してる事に気付いた。魔道具に映されるヤミの居場所は、Aの視線の先。アスタ達の元だ。この場所まで感じるヤミの魔力に思わず走り出す。何か、分からないけど、これは何か凄いことが起ころうとしてる。





荒い息を繰り返すAはさぞかし間抜けな顔をしてるだろう。なかなか珍しい表情にバネッサは目を丸くした。

「なぁに〜?Aったら私達のこと心配して来てくれたの〜?」

にこにこと肩を組んでくるバネッサに「いや違う」とぶった切り、ヤミに目を向けた。

「団長のすんごい魔力感じて来たんだけど、なに、終わったの?」

小首を傾げるAに興奮冷めやらぬと言ったようにアスタが口を開いた。次元ごとたたっ斬るとは我が団長ながらぶっ飛んでる。そんな芸当絶対見たかった。

子供は悪い大人に憧れるもので→←ズタズタ、ボロボロでズタボロ



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ラッシーはん(プロフ) - 待って返信きた!?すごく続きも楽しみですし書き方参考にさせて頂いてます!!対比しているってとこはアスタ=近距離主人公=遠距離みたいなもんですかね!間違ってたらゴミ出しに出されてきます。そして畑の肥やしに生まれ変わってきます。無理なさらず頑張ってください!! (6月6日 20時) (レス) id: 848084950d (このIDを非表示/違反報告)
Hana(プロフ) - ラッシーはんさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!もう一人のアスタの話だと思って読んでいただけたらと思います。対比してる部分も作りたいなぁと思ってるので、楽しみにしていただけたら嬉しいです! (6月6日 15時) (レス) id: 906e49b810 (このIDを非表示/違反報告)
ラッシーはん(プロフ) - こんなに短く簡潔で面白くて凄いです!!めっちゃ応援してます!! (6月5日 2時) (レス) @page2 id: 722157c700 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Hana | 作成日時:2023年6月2日 22時

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