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あったかもしれない未来に思いを馳せる ページ20




無事に、というと少々語弊があるように思うが、特別何もなく海底神殿へ辿り着く事ができた。一週間で魔力を覚えたノエルも見事なものだ。才能なら十二分にあったのだから。
神殿にいる住人に話を聞けば、大司祭に尋ねれば魔石の事が分かりそうだと言う。階段を登った先にある神殿にいるらしい。重々しい扉を開けた先にいた大司祭は、想像よりもずっと元気な老人であった。巫山戯た老人であったが、魔法は見上げたものだろう。

「オマエさんらの目的は魔石じゃろ?欲しかったら…ちーっと遊ばんかい?」

そんな一言から始まった魔石をかけた生き残りゲーム。ルールは簡単。黒の暴牛と、神殿を護る神官魔道士で対決。制限時間内に多くが残った方が勝ちだ。

「ろくな魔力を持ってねぇな…ちゃんと戦えんのか?」

小首を傾げて、小馬鹿にしたように魔導書を構える神官を振り返る。仮面で素顔は見えないが、その下はきっと口調通り馬鹿にしたようか笑みを浮かべてるのだろう。
サシの勝負も前線も自分の専門外だ。全くもって面倒な事になった。

__オレがぶっ扱いてやったんだ。

傍若無人な男の声が蘇り、固く眼を瞑って息を漏らした。勝手な男だったし、本気で死ぬかとも思った。男の勝手のせいで死にかけた数は露知れず。

「ねぇ、ちょっと?聞いてるー?」
「あぁ、うん、ごめん…ちょっと昔を思い出してた。」
「余裕じゃん。」

男の声に過去の記憶を取り払い、ピストルを取り出した。構えた刹那__

「随分年季が入ってんな、お気に入りか?」

突風の後、自分の後ろでピストルをくるくると指で遊ぶ男に目を見開いた。瞬き一つの間にAからピストルを奪ってみせた彼は不敵に笑みを浮かべる。バチバチと閃光が足元で光っている。

「雷魔法か…」
「そ、機動力じゃオレに勝てねぇ。」
「同じだね、私も雷魔法だよ。」

親指と人差し指を広げて、その間に電気を走らせる。
ラックも機動力に長けているが、この男はそれ以上のスピードを有しているだろう。これでAにも人並みの魔力があれば、熱い機動力勝負も有り得ただろうが、Aの魔導書は片手にすっぽりと収まる程の切ない魔力だ。ラックも交えた三つ巴も面白そうだ。残念だが全てたらればの話である。

「でも、私には速さは関係ないかな。」

ライフルの弾を入れ換える。ふわり、と柔らかな笑みを浮かべるが、しかしその瞳は正しく狩人たる鋭い光を宿していた。

プリンはぐちゃぐちゃでも美味い→←小さな雫が大海原になる時



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ラッシーはん(プロフ) - 待って返信きた!?すごく続きも楽しみですし書き方参考にさせて頂いてます!!対比しているってとこはアスタ=近距離主人公=遠距離みたいなもんですかね!間違ってたらゴミ出しに出されてきます。そして畑の肥やしに生まれ変わってきます。無理なさらず頑張ってください!! (6月6日 20時) (レス) id: 848084950d (このIDを非表示/違反報告)
Hana(プロフ) - ラッシーはんさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!もう一人のアスタの話だと思って読んでいただけたらと思います。対比してる部分も作りたいなぁと思ってるので、楽しみにしていただけたら嬉しいです! (6月6日 15時) (レス) id: 906e49b810 (このIDを非表示/違反報告)
ラッシーはん(プロフ) - こんなに短く簡潔で面白くて凄いです!!めっちゃ応援してます!! (6月5日 2時) (レス) @page2 id: 722157c700 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Hana | 作成日時:2023年6月2日 22時

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