残酷で愉快な世界をそれなりに気に入ってた ページ18
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__君の世界に色はある?
初対面でこれを言ってきた奴がいた。それも会って数分の話である。「は?」とめいいっぱいに顔を顰めた記憶がある。同い年くらいの男の子で、若くして団長だという彼は、独特な笑みを浮かべて筆片手にそう聞いたのだ。
「私別に色盲とかじゃないけど。」
「そういう意味じゃないんだよな〜」
「知ってるよ。バカか。」
そう返したのはほぼ反射だった。一つ息を吐いて、彼を一瞥する。
「君がどこまで知ってるか知らないけど、私は今までも結構好きだったよ。世間的にあまり良いものじゃなかったかもしれないけど、あれはあれで楽しかった。君の見てる世界ほど、色鮮やかでもなかったかもしれないけど。」
「あれで良かったんだよ、本当に」と呟いた自分に、彼は「寂しくない?」と一丁前に同情したような顔を向けた。お前に何が分かるんだ、知ったような口聞くなと思った。
何が言いたいのかと言うと、私はリル・ボワモルティエが嫌いなんだと思う。
「うわ…リルじゃん…」
「顰めっ面!?」
魔道具研究所へと立ち寄った帰りに、ばったりと遭遇してしまったのは水色の幻鹿団の団長だった。彼の描いた絵画には紫苑の鯱団長が沈んでる。
「何これ、新手のいじめ?紫苑の団長さん超似合ってますよ、ウケる。」
「ちょうど僕もそう思ってたんだ。ポイゾットさん絵になる男ですね〜。題名は…“溺れる団長“…ですかねっ!」
「で、本当に何?」と隣にいたアスタに尋ねれば、紫苑の団長はどうやら白夜の魔眼と繋がっていたらしい。マルクスの魔法で聞き出した情報だから確実だろう。
「A先輩はどうしてここに?アジトに帰ったんじゃ…」
「魔道具研究所に寄ってたんだよ。ほれ、アスタ。」
ポッケから取り出した手のひらにすっぽりと収まる黒い物体を投げ渡せば、アスタは首を傾げながらそれを受け取った。
「…何すか?これ。」
「持っとくと便利だよ、私が。」
「えぇっ…?」と困惑しつつもそれをなくさないようにと、しまい込んだ。
小さな雫が大海原になる時→←嫌いじゃないけど好きでもない。でもちょっと嫌い
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ラッシーはん(プロフ) - 待って返信きた!?すごく続きも楽しみですし書き方参考にさせて頂いてます!!対比しているってとこはアスタ=近距離主人公=遠距離みたいなもんですかね!間違ってたらゴミ出しに出されてきます。そして畑の肥やしに生まれ変わってきます。無理なさらず頑張ってください!! (6月6日 20時) (レス) id: 848084950d (このIDを非表示/違反報告)
Hana(プロフ) - ラッシーはんさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!もう一人のアスタの話だと思って読んでいただけたらと思います。対比してる部分も作りたいなぁと思ってるので、楽しみにしていただけたら嬉しいです! (6月6日 15時) (レス) id: 906e49b810 (このIDを非表示/違反報告)
ラッシーはん(プロフ) - こんなに短く簡潔で面白くて凄いです!!めっちゃ応援してます!! (6月5日 2時) (レス) @page2 id: 722157c700 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Hana | 作成日時:2023年6月2日 22時