遠 距 離 最 強【ブラクロ】

嫌いじゃないけど好きでもない。でもちょっと嫌い ページ17

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自分を拾った男は多分、というか絶対、周りから嫌われてるんだと思う。私も好きじゃない。やることなすこと滅茶苦茶で、凡そ道徳的精神を持ち合わせていない、非人道的な人間だ。非人道的は言い過ぎたかも。いや、そんな事もないかも、とガンガン戦場を駆けていく後ろ姿を見つめた。私はその後ろを必死こいて着いていく。
一週間ほど前に自分を拾ったのは一人の兵士だった。長い前髪と深く被ったフードのせいで性別不詳とされた自分は、どうやら勝手に男だと思われた挙句、戦争へ駆り出される羽目になったのだ。

この国じゃ、子供も女も関係なく戦場へと駆り出される。正直頭のイカれた国だ。愛国精神万歳、国家総動員万歳。
その戦争の火種が何ともアホらしい。

元々この国は一つだった。それがある時国王が王妃との大事な約束を破ってしまったのだ。激怒した王妃は国を飛び出し自国を築き上げた。要するに火種はただの夫婦喧嘩だ。それが今も尚尾を引いてる、らしい。その話は随分昔の事で、本当か嘘かも分からないが傍迷惑な夫婦だ。他人の夫婦喧嘩まで面倒みきれない。身内で終わらせてほしかった。とにかく、そんな訳でこの国は戦争中なのだ。
今両国を収めてるのはどちらも男なので、これでは同性結婚したみたいになっている。

「おいチビ、ボケっとすんな！」

男の声に現実に戻る。誰がチビだ、という文句はぐっと堪えた。戦場で気の抜けてた自分が悪いので。

自分を拾った男は多分、というか絶対、周りから嫌われてるんだと思う。私も好きじゃない。やることなすこと滅茶苦茶で、凡そ道徳的精神を持ち合わせていない、非人道的な人間だ。非人道的は言い過ぎたかも。いや、そんな事もないかも、とガンガン戦場を駆けていく後ろ姿を見つめた。

「ちゃんと着いてこいよ。」
「はいよ。」

ただ、私が周りと違うのは、その男を嫌いにもなりきれないところだろう。

残酷で愉快な世界をそれなりに気に入ってた→←カロリー気にしてちゃ何も食えん

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