鬼にライフル ページ13
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こんな事ならアジトに戻るんじゃなかったと少しの後悔をした。
酒場から帰る頃にはどっぷりと闇に沈んだ時間帯だった。アジトの扉を開けるや否や、訳も分からずここに来た訳だが、目の前にいる、先日襲撃に来た白夜の魔眼の頭首にAは顔を歪めた。
「A先輩にフィンラル先輩まで来てくれたんすね!」
「「来たくなかったけどね。」」
清々しい程にやる気のない二人にアスタは言葉を失った。子供達を町へ避難させるフィンラルに「このまましれっと帰っちゃお」と耳打ちするAにコクコク頷く。そそくさと空間を潜ろうとしたその時、首根っこを捕まれ情けない声が出た。
「テメェ何帰ろうとしてんだ。おいフィンラル、ちゃんと戻って来いよ?」
そのままズルズルと連れ戻されながら小さく息を吐いた。
あんなに緊迫していた空気が緩んで、アスタも肩の力が抜ける。
「前線は私の担当じゃないってば。」
「オマエならどこでもバカスカ撃てるだろ。」
バカスカなんて、私はそんな単細胞の脳筋じゃないと不満を全面に出した。加えてアスタまで「そうっすよ!A先輩ならどこでも余裕ですって!」と続ける。
「狙撃手ってのは隠れてコソコソしてる人種なんだよ。」
「そんなこと言わずガンガン行きましょう!」
「こいつ話聞かねぇな。」
「それに」と続けるAを遮ったのはリヒトの攻撃だった。反応すら出来ないそれは、しかしヤミによって防がれた。この男がいなければアスタもAもここに立ってないだろう。
「団長、マジ冗談抜きで私役に立たないですよ。」
「何、珍しく弱気か?」
「そういうんじゃなくて…今、雑魚弾しか持ってないで。」
「あんま期待はしないでくださいね」と告げるAを半ば呆れたように見た。この女は自分でそう言いつつ、何だかんだで役に立つ。銃の事は詳しくないヤミだが、ぶっちゃけ弾がどうこうはAにしてみれば大した事ではない。彼女の最大の武器はその精密射撃なのだから。
「オマエなら、上手くやれんだろ。」
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ラッシーはん(プロフ) - 待って返信きた!?すごく続きも楽しみですし書き方参考にさせて頂いてます!!対比しているってとこはアスタ=近距離主人公=遠距離みたいなもんですかね!間違ってたらゴミ出しに出されてきます。そして畑の肥やしに生まれ変わってきます。無理なさらず頑張ってください!! (6月6日 20時) (レス) id: 848084950d (このIDを非表示/違反報告)
Hana(プロフ) - ラッシーはんさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!もう一人のアスタの話だと思って読んでいただけたらと思います。対比してる部分も作りたいなぁと思ってるので、楽しみにしていただけたら嬉しいです! (6月6日 15時) (レス) id: 906e49b810 (このIDを非表示/違反報告)
ラッシーはん(プロフ) - こんなに短く簡潔で面白くて凄いです!!めっちゃ応援してます!! (6月5日 2時) (レス) @page2 id: 722157c700 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Hana | 作成日時:2023年6月2日 22時