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「拓実〜どうした〜」
拓「ほっといて、いま傷ついてるから」
「女子か」
学校でも頭の中のモヤモヤが全然消えなくて、べたっと机に突っ伏して過ごす。
1日こんな感じで気分が上がらんくて、ぼーっとしてたらもう帰りのホームルームが終わりそう。
他校の男か…
背高かったしガタイよかったな…
大人の雰囲気を感じた。
どこで知り合うんやろ、中学とか？
幼馴染とか…
もしかして、俺らみたいに運命的な出会い方したんやろうか…
んんんもうわからん…
セットしてないのをいいことに、髪をぐしゃぐしゃにしてため息をついた。
「拓実〜いい知らせと悪い知らせどっちがいい？」
拓「…今より悪いことなんてないわ、悪い方」
「今日部活休みだって」
拓「え…そうなん」
なんでいつも俺がモヤモヤしとる時に限って休みになるん？
余計なこと考えんように走りまくりたいのに。
いつのまにかホームルームは終わっていて、みんなもうバラバラと帰り出していた。
…俺も帰ろ。
「あ、良い方聞かないの？」
拓「…忘れとった。なに？」
何を聞いてもそんなに喜べる自信ないで…
友達を見るとなぜか超ニヤニヤしていて、なんやこいつと思っていると、
「カナちゃん来てるよ」
拓「……えっ？！」
びっくりして廊下の方を見ると、カナちゃんの姿は見えなくて、
でも入り口のドアから黒髪だけがチラッと見える。
リュックも持たず急いでその子のところへ行き、ガバッと顔を見るとカナちゃんで、
目をまんまるにしてびっくりした…！と肩をすくめている。
拓「カナちゃん…！」
『びっくりさせないでよ笑』
拓「それはこっちのセリフやろ！なんでおるん？誰か呼ぶ？」
会いたかったからか、カナちゃんの姿を見て話せているだけでテンションは軽々と上がる。
落ち込んでいた気持ちなんかどっかに消えた。
教室から出て行く人たちが俺らをチラチラと見てから行くのが少し恥ずかしいけど、どこか自慢げな気持ちになった。
『あの、野球部が部活ないって聞いたから…
川西くんまだいるかなって思って』
恥ずかしそうに俺に目を合わせずにそう言った。
なに、俺に会いに来たん…？
なんなんそれ、かわいすぎる
お互い照れまくって全然目が合わない。
…嬉しすぎて、どうしよう。
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作者名：らん
| 作成日時：2021年7月7日 0時
