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樹に別れないと言われてから、川西くんとの関係が悪いように思えてしまって
川西くんにどう対応していいのか、わからなくなった。
ラインもあんまりしない方がいいのかと、
樹にバレてるからもう遅いのに、連絡するのを控えた。
なんかあった？と心配する川西くんのメッセージに、
罪悪感と寂しさを感じてしまって
全部言ってしまえたら…と何度も思った。
でも、言えない…
川西くんをこれ以上巻き込みたくない。
そう思ってたのに、
なんで彼は、一瞬で私の心を変えてしまうんだろう
彼は私に彼氏がいることを知っていた
なのに私と話してくれていた
私と話したかったから…って。
そんなの、ずるいよ
そんなこと言われたら、
もう完全に彼に落ちてしまう。
人を傷つけない別れなんか、無い
その言葉がスッと心に入ってきた。
確かにそうだ
どうしたって樹を傷つけるのは確定なんだから、せめて正直に話して納得してもらおう
『聞いてくれてありがとう』
拓「逆に無理やり言わせたみたいになってごめん…」
『そんなことないよ？
頑張るから、応援してくれる？』
拓「してるよ、ずっと。
俺はいつでも味方やで」
『ありがとう』
相談してよかった。
私の気になる人が川西くんだとはバレてないから、
張本人に相談するなんて変な感じ。
彼ともっと仲良くなりたい。
そのために、終わりにしなきゃいけない。
頑張ろう、きっと樹もわかってくれる。
『じゃあ、切るね？』
拓「…」
『…川西くん？』
拓「なぁ、カナちゃん」
電話を切ろうとしたとき、川西くんに止められた。
静かに話を切り出した彼の声は、いつものようにかわいらしい感じはなく、
低く、甘い声だった。
拓「…話し合いがうまくいって、ちゃんと彼氏と別れられたらさ、」
『…うん』
拓「俺、カナちゃんに会いたい」
脳がくらっとするくらい、ストレートに言われた言葉に顔が赤くなる。
心臓が苦しいくらい音を立てて、ぎゅうっと締め付けられた。
今までも会いたいと言われたことはあったけど、今回のは本気だ。
拓「……あかん？会いたい、カナちゃん…」
何度も甘えたように会いたいと言われる
声だけしか聞こえないけど、甘すぎて脳が痺れそう。
彼は本当に、ずるい人。
『…うん、会おうね』
拓「約束やで」
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作者名：らん
| 作成日時：2021年7月7日 0時
