爽やかスマイルにご注意を (ページ35)

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彼と距離を置くようになって1週間が経った。

純喜くんは、朝も待ち合わせにいないし、帰りも私の教室に来ることはなかった。

最初のうちは、彼のいない朝や放課後は

こんなにも味気ないものなのか、と

心の一部がすっぽり抜けたような気分になって、すごく寂しかった。

…でも、これからはそれが普通になるんだ

今までが幸せすぎただけ、と思い込み

朝は出来るだけ遅く登校し、放課後は誰よりも早く帰るようになった。

そしてこの1週間を過ごして気になるのは、

彼が笑っているところを一度も見ていないこと。

移動教室のときや昼休みなんかは、廊下を歩いていると

たまに彼の姿を見ることがあったんだけど

ぴくりとも、笑っていなかった。

憂いを帯びたような、目の力が抜けているような

アンニュイな顔をしているところしか見ていない。

もちろん声はかけていないから、横顔を遠目で見ただけなのだけれど。

あとは…

彼のとりまきの女の子も見なくなった。

…ううん、女の子だけじゃないな

思い返すと、この1週間、

彼が1人でいるところしか見ていない、かもしれない。

ただの偶然？

…そんなこと、ないよね。

彼は基本友達と一緒にいるもん。

彼が離れても、友達が彼をほっとかないはずだし。

やっぱり私のせい、なのかな

私が彼を傷つけたのかもしれない。

だめだよ、純喜くんは笑っていてくれないと

純喜くんの時間の邪魔をしたくないから、離れたのに。

純喜くんの笑顔が大好きなのに。

彼からあの笑顔を奪ってしまったなんて、

私は何のために彼から距離を置いたんだろう。

ぼーっとしていると、ホームルームはもう終わっていたみたいで

教室には私以外にもう1人2人しかいなかった。

冷静になろうと離れたけど、結局私は彼のことしか考えられなくて

悩みは尽きないみたい。

彼の笑顔が見たくて、

でも見れなくて。

そしてそれは自分のせいで。

自分のことしか考えられなかった私自身が嫌になる。

涙が出そうになり下を向いて靴箱までの廊下を歩いていると、

前を見ていなかったせいか、人にぶつかってしまった。

「…イタッ…あ、大丈夫ですか」

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