爽やかスマイルにご注意を (ページ34)

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しばらく虚無になって、ぼーっと部屋の一点を見つめていると、

ドンドンと階段を登ってくる音がする。

…この登り方と音…

いつの間に家に入って来たんだろう

『…瑠姫くん？』

瑠「あれ、バレてる」

私の部屋のドアからひょこっと顔を出し、

いたずらっ子のように笑って入ってきた。

カナママがくれた〜、と私の隣に座り、手に持っているコーラを嬉しそうにコップに注いでいる。

瑠「どーしたの、お気に入りのワンピースなんか着ちゃってぇ。」

『…やめて、言わないで』

瑠「…似合ってるよ。かわいいよ」

優しいね、瑠姫くんは。

いつも私が弱ってる時に、言わなくても来てくれる

そしていつもこうやって私を褒めてくれて、

心を落ち着かせてくれるの。

瑠姫くんは、ヒーローみたいな人。

瑠「…カナ、今も辛い？」

瑠姫くんなりに気を遣ってくれたのか、

あえて私の目を見ずに、コーラをガン見しながらそう言う彼に思わず笑ってしまう。

どこ見てんのよ、

瑠「なぁんで笑うんだよ笑全然元気じゃん笑」

『瑠姫くんのおかげで元気出たかも笑』

瑠「はや！なんもしてねぇ〜笑」

元気が出たのはほんと。

あのまま1人でいたら、自分を責めて、彼のことで頭がいっぱいになって

苦しくなるだけだったと思う。

瑠姫くんが来てくれてよかった。

瑠「…笑ってくれてよかった」

『…うん？』

瑠「…ごめんな、

カナが辛がってるのわかってたけど、純喜に言わなかった。」

『…そんなのいいのに』

瑠「気づいてほしかったからさ、純喜に。」

申し訳なさそうに、でも落ち込みすぎず明るい声のトーンでそう言う瑠姫くん。

瑠姫くんが謝ることなんかひとつもないのに。

『いいよ、私も人から言われるより気づいてもらいたいし。

それに私たち、遅かれ早かれすれ違ってたと思うよ』

瑠「そお？」

『そおだよ』

瑠「そおか〜」

案外口に出してみればスッと言えるもので、

心の中に閉じ込めておくよりも口に出したほうが

気持ちが軽くなるのに気づいた。

かなり落ち着いたし、また月曜からは1人でやっていけそう。

瑠「…純喜に言いすぎたかも」

『…？喧嘩したの？』

瑠「いや…カナのためだからな」

『よくわかんないけど、ありがとう』

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