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言われた通り、汐恩の目をみて、汐恩の口が開くのを待つ。
汐「俺さ、めっちゃ不器用やねん。…知っとると思うけど。」
うん、と頷くと汐恩はフハッと笑った。
その笑顔…金城くんと話してる時に見たときのだ。
汐「思ってることもちゃんと言えへんし、
そのくせカナにダサいとか思われたくないからクールぶっててん。」
…ダサいなんか、思わないのに。
汐「…不器用とか言い訳にしかならんけど、謝らせて。ほんま、ごめん。」
そう言ってバッと頭を下げる汐恩。
汐恩がそんなこと考えてたなんて知らなかった私は、驚きが隠せない。
汐「で、あの…これはちゃんと言わなあかんなーと思いまして…」
『うん…？』
急にもじもじし始め、目線が合わなくなった。
汐恩がなにを言うかは全然想像できない。
汐「…結城さんのやつとか、色々不安にさせたこともあるけど、ほんま、これは信じてほしい。
俺が好きなんは、カナだけ、やから」
だんだん語尾が小さくなって行ったけど、ちゃんと聞こえた。
ずっと、言って欲しかった言葉。
言った後、腕で顔を覆って、恥ずかしそうにチラチラとこちらを見る彼が愛おしくて、嬉しくて
さっき止めたはずの涙が止まらない。
汐「え、ちょ、なんで泣くん」
『…嬉し泣きだから、いいの』
汐恩は焦ってポケットを探ったけどハンカチなんか持ってるはずもなく、諦めて私の顔を両手で優しく包んで涙を拭いてくれた。
『…しんどいっていうのは？』
気になっていたことを聞いた。すると汐恩はまた顔を赤くして、
汐「…カナに1週間会えへんくて、寂しかったというか、キツかったというか…
俺の精神が異常をきたしてたというか？」
と言った。
…なにそれ。
そんなの、私もだよ。
私だって寂しかったよ。
なんだ、言わなかっただけで、こんなにも気持ちは一緒だったんだ。
目の前で座って、優しく笑ってこっちを見る汐恩の顔からは愛しさが十分すぎるほど伝わってくる。
まるで顔全体から好きと言われてるみたいに。
汐「言わないかんことは言えたから、次はカナ、なんでも言うて。」
『…じゃあ、』
顔を見て言うのは恥ずかしいから、と思って汐恩に両手を広げると、
躊躇いつつぎゅっと抱きしめてくれた。
『このまま、聞いて』
汐「…いや恥ずい」
『やだ、このまま」
汐「はいはい、どーぞ」
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作者名：らん
| 作成日時：2021年5月19日 23時
