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金城くんの問いかけには答えられなくて、ただ2人で静かに歩いた。
汐恩としっかり話さないと…
お互いの気持ちを確認したい
そう思って、レッスン室まで向かうと、汐恩はドアの前でスマホをいじっていた。
久しぶりに見た汐恩は、
なぜかすごく落ち着いて見えて、急に大人になったような感じがした。
近づくにつれ緊張が増してくる
汐恩はこちらに気付いていないみたいなので、一旦心を落ち着かせようと彼から数メートル離れた所で物陰に隠れた。
碧「なにしてん笑 行かへんの？」
『ま、待って。落ち着かせてるの』
途中までと言いつつここまで来てくれた金城くんも一緒に隠れた。
深呼吸をして、さあ行こう、としたとき
蓮「あれ、汐恩なにしとー？」
汐「シューズ教室に忘れて。碧海に届けてもらってます」
川尻先輩が汐恩と話し始めて、思わずまた隠れてしまった。
碧「(なにしてんねん！笑)」
『(行くタイミングなくした…)」
聞こえないようにこそこそと話していると、先輩と汐恩の話し声が聞こえ、思わず耳を澄ませた。
蓮「汐恩、ここ最近あんまり調子よくないね。感情が無というか…
カナちゃんのこと、やんね。」
汐「まぁ…そうすね。すんません。」
急に自分の名前が出て来て、びっくりして金城くんの目を見る。
金城くんも予想してなかったようで、ポーカーフェイスながらも私と目を合わせたまま2人で耳を澄ませた。
蓮「ごめんなぁ、俺が汐恩を急かすようなこと言ったから…」
汐「いや、蓮くんのせいじゃないっす。俺のせい。」
汐恩を急かす？蓮くんのせい？
わからない話が続き、理解できずにいると、
蓮「いま汐恩は、彼女のことどう思ってるの？」
汐「今っすか…」
どくん、と心臓が音を立て始めた
汐恩が私をどう思ってるか
それは私が1番知りたかったもの
不本意だけど、今ここで知れるの？
ずっと目を合わせていた金城くんもこの展開に驚いて、急に焦り出した。
気になる
汐恩は私をどう思ってるの？
汐「なんかもう…しんどいっす。」
その声を聞いた途端、金城くんの手で耳を塞がれた。
汐恩から、はっきりと拒絶の言葉を聞いた
やっぱり、来なきゃよかった。
頭がなにも考えられなくて、手に力が入らなくなり
持っていた汐恩のダンスシューズを入れた袋が手から滑り落ちた。
『…あ…っ』
汐恩と川尻先輩がこっちを向いた。
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作者名：らん
| 作成日時：2021年5月19日 23時
