不器用エイリアンのほんと (ページ29)

今日:88 hit、昨日:90 hit、合計:331,744 hit

28 ページ29

・
いつものように1人で帰ろうとすると、先生に止められた。

あ、今日私日直だったんだった
忘れてた

みんなが教室を出るのを日誌を書きながら待ち、窓の施錠を確認して終わり。

職員室に日誌を提出に行こうと向かっていると、

後ろからバタバタと走る音がして、誰かがすごいスピードで横切った。

…と思ったら急に止まって、ばっと振り返った。

え、なになにこわい
知らないふりして歩こう…

顔を見ないように俯いて歩こうとすると、

碧「あの、カナちゃん！やんな？」

『えっ？は、はい！』

碧「俺、金城碧海です。汐恩の友達」

『知ってます…？』

そーやんな、と笑う金城くん。話したことはなかったから、急に話しかけられてびっくり。

碧「いま帰るとこ？…ちょっとお願いしていい？」

『なにを？』

怪しくニヤッと笑った金城くんは、ぱっと私が持っていた日誌を取って、代わりに金城くんが持っていた袋を押し付けて来た。

…え、なに？

『ちょっと、なにこれ？』

碧「それ汐恩のダンスシューズ入ってんねん。教室に忘れたから届けに来いって連絡されてさ。

せっかくやから俺の代わりに行って来て？」

『汐恩の？…ごめん、行けない』

碧「なんで？」

『なんでって…』

金城くんの目は苦手。
あの目で見られたら、全部言ってしまいそうになる。

途中まで行くから歩きながら話そうと言われ、流れで私が行くことになってしまった。

1週間まともに話してないのに…

どんな顔して会えばいいの

碧「汐恩さー」

もやもやと考えていると、金城くんは急に話し出した。

碧「ここ最近めちゃめちゃ告白される回数増えてさ。なんでやろな。」

横目でこっちを見て来た。

だからその目、やめてほしい。なんでも見透かされてる気がして、やだ。

『っそうなんだ。じゃあなおさら私が行かない方が、』

碧「でもな、」

今更私が行かなくてもと言おうとすると、金城くんが言葉を被せて阻止した。

碧「全部ちゃんと断ってんねん。彼女だけが好きやからー言うて。教室でも汐恩に媚びる子はめっちゃおるけど、誰1人汐恩に相手されてないで。

…誰のためやと思う？」

誰の、ため？

…私？

翔也くんの、汐恩も変わろうとしているから信じて待ってろという言葉を思い出した。

私が不安になったから、不安の素を全部無くしていってくれてる、てこと？

まだ終わってないって、思ってもいいのかな

・