おやすみの前に (ページ23)

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幸せデート日和 2 (汐恩) ページ23

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「…はい、どーぞ」

『ありがとう。お邪魔しま〜す！』

「何か持ってくるんで、どこでも座っといてください」

『いいの？じゃあ入ってるね』

海沿いデートを楽しんだ後、汐恩の家でゆっくりすることになった。

初めての汐恩の部屋に内心すごく緊張してる。

めっちゃ汚いけど引かんといて、とすごく保険をかけていた割にはそんなに散らかってもいない。
黒やネイビーのものが多い、シンプルな部屋。

汐恩の生活を除いてるみたいで変な感じ。ドキドキする。

やがてコップを2つもった汐恩がそろりそろりと歩いてきて、間隔を少し開けて隣に座った。

「紅茶、好きやったやんな？」

『好き！買っててくれたの？笑』

「俺んとこ炭酸しかあらへんから」

わざわざ前から準備してくれてたのを考えるとすごく可愛らしい。

どこを見たらいいのかわからなくて部屋を見渡せば、ぺっしゃんこになったクッションや本棚に沢山の漫画があって、やっぱり男の子だなぁと感じる。

「…あんま見んといて、色々隠してるんで」

『あ、ごめん。初めてで、つい…』

「俺の部屋なんもないっすよ」

『男の子の部屋自体が初めてだから、見慣れてなくって。新鮮な気持ち』

「…え、うそやん。それはえぐい」

なにが？笑

と、彼の方を向けば、なぜか手で口元を覆っている。

手をついて顔を覗き込むと目があったけど、なんやねん、って照れ笑いして誤魔化された。

汐恩の方が経験豊富だろうに、反応がいちいちピュアでかわいいなぁ…

思わずふふっと笑うと、それを見た彼は今度はムっとした顔になった。

「なんでそんな、余裕そうなん」

『え？全然余裕じゃないよ？』

「嘘や」

嘘じゃないのに。

その証拠にほら、心臓の音が聞こえそうなくらいどきどきしてるんだけどな。

どうしたら伝わるのかわからなくて、

すぐ横にある大きな手に自分の手をそっと重ねてみた。

勢いよくこっちを向いたまんまるな目と目があって、

恥ずかしさに耐えながらも目を逸らさずにじっと見つめ返す。

ぎゅ、っと握り返された手が熱くて、一瞬で変わった空気と汐恩の目に飲み込まれそう。

引っ込めようとしてももう遅い。

少しずつ近づいてくる彼に気づいてるけど、身体は動かない。

…動くつもりも、ないけれど。

「…嫌やったら、すぐ言うて」

『嫌なわけないじゃん』

「ほんまもう…ずる、」

フッと軽く笑ったあと、愛おしそうに見つめられ

2人の距離は無くなった。

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