おやすみの前に (ページ18)

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おかえり(奨) ページ18

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"女三人寄れば姦しい"とはよく言ったもので、

仕事終わりのOLが3人集まればおしゃべりが止まらないのはいつものこと。

仕事や上司の愚痴、美容の話、食べ物の話

いろんな話をする中で、一番話が弾むのはやっぱりそれぞれの彼氏の話。

「彼氏を本当に好きかわからない」「疲れすぎて彼氏にかまえない」なんてネガティブなことを言う2人の事情を聞いては慰めての繰り返し。

アヤのとこは？と言われても、

この状況でうちの話はできないかな…笑

2人に期待の目で見つめられる中で、ピコンと携帯に通知が入った。

奨迎えに来たんだけど、もう帰れるかな?

奨くんだ。

ふと窓の外を見渡せば、見慣れた車が止まっている。

『っごめん、迎えに来てくれてるみたいだからもう帰るね…？』

「いいなぁ…またね」

冷やかされながらも外に出れば、車の窓から手を振る彼が見えた。

奨「よかった〜タイミング良くて。大丈夫だった？」

『うん、おしゃべりしてただけだから。迎え来てくれてありがとう』

奨「はーい。じゃあ出発しますよ」

奨くんはよく仕事が終われば迎えに来てくれる。

申し訳ないよと言っても、俺が会いたいだけだよ、とか俺が安心するから、とか

なんて紳士なんだろう…

雰囲気のいい音楽と奨くんの鼻歌というには大きすぎる歌声を聴きながら彼の横顔を見るのが好き。

彼は全然気づかないけど。

奨「なに話してたの？」

『彼氏の愚痴を聞いてたの』

奨「うわっそれ俺のも言われてるってこと？」

『どうだろうね？笑』

奨「こわすぎなんだけど」

俺なんかしたっけな…と考え込む姿がかわいくて、つい笑いが溢れる。

彼女ら2人の愚痴を聞いて、全く理解できないことはない。

だけど私も奨くんへの不満を考えたところで、それが全く出てこないのだ。

だって悪いところがなさすぎる。
あるのかもしれないけど、私はそこを悪いと感じていないんだと思う。

会話のネタにはなれないけど、それでいいの。

奨「ふー…ただいま」

『おかえり。運転ありがとう』

奨「どういたしまして。…アヤも、おかえり」

『ん、ただいま！』

家に一緒に入るのに言い合うおかえりとただいまは恒例のこと。

おいでと広げられた腕の中に吸い寄せられるように抱き付けば、奨くんの匂いと微かな香水の匂い。

今日もお疲れ様。毎日ありがとう。

さ、一緒にご飯作ろっか。

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