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階段を上がるとリビングに繋がる扉が空いていた。
正面に見える机のところには先程の弟くんたちが不思議そうな顔で私のことを見ていた。
「弟くんだよね。こんにちは!」
思い切って元気よく挨拶してみたものの、挨拶はちゃんとはかえってこなかった。
「こ、こんにちは」
「…」(ペコッ)
「もーAごめんな?こっちがこうで、こっちがすず!」
「ううん、全然!かっこいい弟君らやなぁ」
しょうが弟くんたちを紹介してくれた。
こんにちはと言ってくれたのがこうくんで、その横にいる可愛い子はすずくんというみたいだった。
「こらすず!ちゃんと挨拶せんかい!!」
キッチンにたっているお母さんからの声を聞いてやっとすずくんが口を開いた。
「…こんにちは…」
「ほんまごめんなぁ、こーさんとすーさん人見知りなんよ」
「ええなぁ、自分も弟欲しいわぁ!」
弟がいない私にとってはこんなにも可愛くてかっこいい兄弟がいるのが少し羨ましかった。
そこから私も机の周りに座り、しょうや弟くんたちと会話をしていた。
私はどんな人か、とかしょうがたくさん紹介してくれて、弟くんたちも少し私に興味を示してくれたようで、段々と話しかけて来てくれるようになった。
「ねぇ、Aさん」
私に少し慣れたすずくんが急に問いかけてきた。
「どうしたん?」
「Aさんはおにぃの彼女なん?」
「「え、?」」
予想外の質問に私としょうの驚きの声が重なった。
「いやすーさん何言ってんの!そんなんちゃうよー友達やて!な!A?」
「え、あ、う、うん!そーやで…!」
すごい勢いでしょうが否定するもんだから、少し傷ついた。そこまで焦らんでも、いいのに。
その勢いに乗って自分も肯定してしまって、良かったのかどうかわからず、また少しへこんだ。
「ふーん…じゃあおにぃの片思いかぁ」
「す、すーさん!?ちょ、違うて、もうあんただまりや?」
キラリと歯を見せながらニヤッと笑ったすずくんがまた突拍子もないことを言い出した。
「Aとはまだそーいう関係ちゃうねん」
「…まだ?」
少し前まで口を閉ざして話を聞いていたこうくんが口角をあげながら何かを企んでいるかのようにそう発した。
「いやちゃうねん、いや、ちがくないけど!え、もう!」
弟くんたちのペースに持ってかれているしょう。
少し頬の赤い君に期待しても、いいですか?
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作者名:とちもち | 作成日時:2022年11月20日 19時