本音 ページ35
どうしようか…
こうと喧嘩してしまった。
しかも色恋沙汰で。
こうは本気だ。
でも俺はずっと前から…。
恋愛に時間は関係あるのか。
恋愛とは奥が深いもので、考え出したらキリがない。
こうと喧嘩をしてから、顔を合わせても変な空気が漂うだけ。
だけど、無視とかはしない、普通に会話はする。けど、きっとおかあは気付いてるだろな。
すずはアホやからきづいてなさそうやけど。
────────
こ「なぁ、お兄。」
し「ん?」
こ「こないだは…言いすぎた。ごめん」
し「いや、気にしてないで。こうの言う通りっていう部分もあったしな」
こ「…」
し「お兄ちゃんもごめんな」
と言って、こうの頭を撫でた。
こ「あんな、おにい」
し「ん?」
こ「Aちゃんな、お兄と会いたがっとる」
し「え」
こ「でも、俺らがおっきくなって、それで距離遠く感じとるんよ」
し「…っ」
ぎくっとした。
ファンの人から「人気になるほど距離遠く感じる」とずっと言われていても、俺らは変わらんよ〜と返していた。
けど、Aに言われるとなると、捉え方が違った。
元々このYouTubeはAと会えるきっかけになるかもしれないと始めた。
なのに、こういう形になってしまったら元も子もない。
し「Aの連絡先教えてくれんか」
こ「え、」
し「こう、頼む。」
こ「…」
黙り込むこう。
きっと俺には言うなとでも言ったんやろな。
し「俺、Aのこと好きやねん。ちゃんと、向き合いたいんよ」
こ「…」
こうは少し黙った後、ゆっくりと口を開いた。
こ「…ちゃんと話しなよ」
し「え?」
こ「おにいの気持ちには勝てんよ、」
し「…こう」
こ「今更遠慮とかやめて。Aちゃんはきっとおにいのことが好きやで。」
し「え、」
こ「…送っといたで」
と、言うと、ポケットの中に入っていたスマホが通知音とバイブレーションで震えた。
し「…ありがとな」
こ「別に、」
こうは少し俯く。
俺に顔を見せんようにとしていたんだろうけど、こうの目は確かに少し濡れていた。
スマホを開いてこうとのトーク画面を開く。
そこにあったのはAと書かれた連絡先。
その連絡先をワンタップして、Aを友達に追加する。
しょうしょうです。こうにもらった。ちゃんと話しませんか
と、送った。
26人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:とちもち | 作成日時:2022年11月20日 19時