遥へのカミングアウト ページ22
グッズを買えて楽しそうな遥を横目に、不安な私。
私は遥にちゃんと言わなければならない。
｢遥｣
遥｢ん？｣
｢イベント前にな、言っとかなあかんことがあるんや｣
遥｢え、何真剣な顔して｣
グッズを両手に持っていたが、そのグッズをしまって、ちょっとあっちの方に行こうと気を利かせてくれた。
遥｢…どしたん、話せる？｣
｢うん…実はな｣
遥｢うん｣
｢私、すずしょうとのみんなと知り合いなんよ。｣
遥｢…え？｣
｢しょうとは、幼なじみで、お母さんにも弟くんたちとも仲良くしてもらっててん…｣
遥｢え、え！？｣
ちょっと待って？と言いながら目をぱちくりさせた遥。
｢言ってなくてごめんな…｣
すずしょうとガチ勢の遥にこういうことを言ってしまうと、『なんで言ってくれんかったん』『ありえない』とか言われるんじゃないかと思いドキドキしていた。
遥｢なんで謝るんよ！？え、なにそれ意味わかんない！｣
｢うん、ほんまに…ごめん…｣
遥｢おしょの幼なじみが親友とかうち超ついてない！？｣
｢え？｣
遥から返ってきた言葉は予想外のものだった。
遥｢え、じゃあ再会ってことやんな？いやぁなんてええ事したんやうちは！、｣
｢え、ちょ待って怒ってないの？｣
遥｢何を怒る必要があるん！？｣
｢え、あ、そ、そう？｣
と言うと、グッズ買った時よりも興奮した遥は抱きついてきて、｢今日は楽しむんやで〜｣と頭をガシガシとされた。
予想外の反応に戸惑った私だったが、遥が友達でよかったと思った瞬間だった。
でも、遥にまだ言えてないことがある。
しょうが私の初恋、かつ、今の好きな人だということを。
｢でね、｣
遥｢え、まだなんかあるの、？｣
｢…ｯ｣
遥｢どした？｣
｢は、初恋なの…しょうが…｣
遥｢…え？｣
｢で、今の好きな人…なんよ｣
遥｢えっと…？整理するとAの初恋がおしょで、今も好きってこと…？｣
｢う、うん…｣
と言うと、遥は何も言わずに私をじっと見つめた。
遥｢そんな少女漫画みたいな展開ほんまにあるん…？｣
とぼそっといったかと思うと、
遥｢親友の恋なんて応援するしかないやん！？｣
と言って、また私の肩を掴んで激しく揺らしてきた。
遥｢今日はとりあえず再会が目標！！進展はそっからや！｣
と言うと1つ私の肩をぽんと叩いて、早く会いに行くで！と、私の手首を掴んで握手会の列に飛び込んで行った。
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作者名：とちもち | 作成日時：2022年11月20日 19時
