未知の場所 ページ13
大阪から離れて京都へ。
京都って言っても清水寺〜とか金閣寺〜とかいう有名どころの近くではなくて、海が近くて、すごく田舎の場所に引越すことになった。
大阪から京都までは車で約2時間半程度。
後ろの座席で寝て時間が経つのを待った。
母「ほら、A起きや?着いたで」
「……ん…」
母親の私を起こす声で目が覚める。
まだ揺れている車内。
窓に目を向けるとそこには一面に海が拡がっていた。
「う、海!?」
父「めっちゃ綺麗やなぁ」
(しょうがおったら、行こ!行こ!ってうるさかったやろなぁ…)
大阪から離れてすぐ、しょうのことを思い出してしまう。
───────
「この木の下でまた会おう、」
───────
思い出してしまう。涙を流すしょうの姿を。
きっとあの時の私たちは同じ気持ちを抱いていたんだろうな。
これからお互いまた別の人と出会って、また新しい恋を初めて行くんだろうか。
高校卒業したら、この気持ちは思い出として残っているんだろうか、?
母「しょうくんにも見せてあげたいね」
「え?」
母「なにかとあんたしょうくん大好きだったじゃない」
「…バレてたか」
母「当たり前やないの笑」
「…うん。大好きやったなぁ」
目に熱がたまる。
今更になってしょうとの別れが悲しくて、惜しくて、涙が溢れる。
────「…会いたいっ…!!」
声になるかならないかぐらいに絞り出された声は、きっと両親には届いていたと思う。
けど、何も言わずにいてくれた。
涙とともに溢れるこの恋心。
きっとこれが私の初恋。
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作者名:とちもち | 作成日時:2022年11月20日 19時