【テニプリ】幸村くんと、天使ちゃん。

第十六話 ページ17

side 幸村



俺はスポドリのストックがちょうど切れていたことに心から感謝していた。



…まさかAさんに会えるなんて…



しかもあのスーパーにくることは滅多にないと言っていたし、もうこれって運命なんじゃないかな。



夢じゃないかと、電話帳を開いてはAAという文字を見てにやつく。



…夢じゃない、本当にこれからは好きな時にAさんに連絡がとれるんだ。



もう本当に乙女かよって感じだけど、俺はベッドに突っ伏して足をバタバタさせて悶えた。



…そうだ、これは柳のおかげでもあるから報告ついでに自慢してやろう。



…確かあいつ彼女いなかったはずだし。



俺はふと思いついて、柳に彼女の連絡先が無事聞けた、スーパーで偶然出会ったなどの内容のメールを送ってみた。



すると予想以上に柳からの返事は来たけれど…内容はこう。



「連絡先くらいで満足してどうする。お前はAと恋人になりたいのではないのか？」



…さすがにうちの参謀は手厳しい。



「恋人、か…」



俺にはファンクラブなんてものもあるらしく、告白もしょっちゅうされるけれど、ぶっちゃけ今まで女の子に興味が持てなかったから誰かと付き合ったことはない。



Aさんは…どうなんだろう。



俺は彼女の柔らかい笑顔を思い浮かべながら考えた。



あんなに可愛いし、モテるんじゃないのかな…とは思うんだけど、すごく純粋そうだし…



いやいや、柳にも言われた事を思い出せ、俺。



こういうのは自分で調べればいいんだ。



そう、データだデータ。



まあそんなものなくても俺は彼女の事を好きなのには変わりないんだろうけど。



それでもやっぱり好きな女の子のことは知りたくなるものなんだなあ、なんて考えながら、俺は眠りについたのだった。

第十七話→←第十五話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す