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私の言葉に…智の目が揺れた。
“そっか”なんて言ってくれたけど
右手で金色の髪の毛をｸﾞｼｬｸﾞｼｬにした。
私からは何も言ってあげられなくて
私に触れようか迷って揺れる智の手を見るしかなかったの。
.
智を傷つけてるのは分かってる。
分かってるんだけど…
自分でも自分が分からないの。
翔先輩のあとは…智の方に女の子がいたからって理由で付き合ってたけど
どっちもフリーの今…
私が迷う必要なんてないはずだった。
智とキスして…
智と寝て…
こうやって智のベットの上で笑いあう日を夢見たのに
どこか違うの。
どうして？
.
智「A」
「…何？」
智「そいつとさ…付き合ってみたら？」
「え？」
智「もう最後になるかもしんねーし」
“いいんじゃねぇの？”って言われたら
私の心が…智に突き飛ばされたみたいに
ﾄﾞﾝｯて大きな尻餅をついて
起き上がれない。
本当バカみたい。
.
やっと気づいた。
なんで自分がそんな風に言っちゃったのか。
“そんな男やめて、俺と付き合お”って
そうやって智に引き留めて
その腕の中に閉じ込めて欲しかった。
でも…そんな自分勝手な欲望も
智には気づかれず、叶わぬものとなるのかも。
永遠に叶わない私の勝手な想い。
「ねぇ……最後って？」
智「ん？」
「最後ってどういう意味？」
智「そのまんまの意味」
“分かるでしょ？”って声はあまりにも優しくて
ﾎﾟﾝﾎﾟﾝと私の髪を撫でる手が
もう昔の私を撫でる手じゃない。
.
空いてる手が私の服の裾を掴んで
智の口からは小さな溜息が聞こえた。
智「帰る？これ着替えたいでしょ？」
「…え？」
智「洗濯してやりてぇけど…そこまでの元気ねぇし」
「いいよ。1回帰るね」
智「……ん」
これ以上…智に何かを言われたら
涙がまた出てきそうになるから
ベットからすぐに降りて…リビングのバックを持って
一目散に玄関に向かった。
智「待ってから、戻ってきてね」
「……頑張る」
智「じゃあな」
.
ここに戻ってくる自信なんてない。
大好きな人と付き合えるかもしれない最後のチャンスを自分から手放したんだもん。
「もしもし……潤さん？」
潤『ん？』
「…返事なんですけど」
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作者名：storm@japan
| 作成日時：2015年3月20日 12時
