『背中合わせの二人 -Satoshi.O-』 Part4 (ページ23)

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私と潤さんの前に並んだスーツを着た人達。

私の後ろにあるスクリーン。

「こちらのグラフにあるように…認知度の上昇はかなり見込めると思います」

○『ほう…なるほどね』

「そこで広告サンプルを作ってきました」

◇『サンプルねぇ…』

「スクリーンをご覧ください。テーマ別に3つほどご用意させていただきました」

せっかく…潤さんから重要なところのプレゼンを任されたのに

相手の食いつきが悪くて…

お偉いさんが小さい声で“飲み会どうする？”とか

奥の席で話してるのが分かる。

会社のためにも、この仕事は成功させたいのに

このままじゃ契約取れない。

潤「焦らない」

「…へ？」

潤「やってることは間違ってないから」

「あ……はいっ」

潤「今回の場合はねー……」

“強引に言いきった方がいいかも”って

先輩が凄く小さな声でアドバイスをくれて

強引に…なんて不安だけど

やってみるしか打開策はない。

「実際に…試験的に…うちの広告を運用されてみてはいかがでしょうか？」

.

手に持った袋が…すごく軽く感じる。

先方に資料配ったりしたから…

本当に軽くなってるんだけど

何も持ってないみたいに軽い…プレゼンの帰り道。

「あ、ありがとうございましたっ!!」

潤「え、何が？(笑)」

「あのアドバイスが無かったら…この契約取れてないですから」

潤「いや…俺は背中押しただけだから」

「強引になんてできなかったです。言ってくれなかったから」

潤「んーAちゃんは言ってたと思うよ？」

潤さんの言っている意味が分からなくて

どういう事ですか？って訊こうとしたときに

“あの人達ね…お試し大好きなの(笑)”って教えてくれた。

「お試しが大好き？」

潤「そう…お試しだとコッチが安く提供するの知っててさ」

「……あ、確かに」

潤「だから…必ず最後には“試してみない事にはねぇ”って言うんだよ」

「そうなんですね」

潤「そう言われたら…試験運用薦めてたでしょ？」

「はい(笑)」

潤「大丈夫。あの人達は本契約取ってくれる」

「だといいです」

潤「サンプルがあの人達好みだから大丈夫だって(笑)」

潤さんの笑顔が夕陽に眩しいくらいだったのに

“じゃ…約束通りいこうか？”って言われて

ﾄﾞｷｯとしちゃった。