『背中合わせの二人 -Satoshi.O-』 Part4 (ページ19)

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勝手に入ったカウンターの中から

グラスを1個取って…ミネラルウォーターを入れる。

和「…はいよ」

智「…ん」

和「全部飲んで下さいね」

智「へーい」

俺の忠告を聞いた大野さんが

一気にグラスの水を飲みほして…

小さな溜息をついた。

“帰っちったよな”って呟くように言った大野さんは

少しだけ高校の時みたいだった。

先生に怒られた時にしてた顔と全く一緒だな。

和「ま……さっきのはやりすぎだったわな」

智「だよな」

和「あなたの気持ちも分かりますけどねー」

智「いや…でも、やりすぎた」

和「そんだけ反省してんならいいんじゃね？」

相葉さんと爽やか先輩が帰った瞬間から

大野さんは見るからに反省しだして

その燃えるような金髪もｼｭﾝとして見えてんじゃん。

んな…力なく煙草に火移してんじゃないよ。

.

智「だっせーな。俺」

和「なんでよ？」

智「Aしか見えてねぇんだもん」

和「今更でしょ(笑)」

智「まさか…手出すまで行くと思ってなかったわ」

和「……そりゃ…」

長い指が煙草をﾄﾝﾄﾝとして

灰皿に零れていく灰を見てる大野さんに

俺からかけられる言葉なんてねーのかもしんねぇ。

たぶん…この人の気持ちを

俺らは半分も理解できてない。

そら…この人がAちゃんを好きなのは分かってるし

すっげー長い想いを抱えてて

付き合うことにならないもどかしさを持ってるのも知ってる。

それなのに…ｼﾞｯと待ってやるとかさ

相手の想いを尊重してやるとかさ

俺らにはできない事をやってんじゃん。

.

智「そろそろｹﾘつけねーとな」

和「それ…良い方？」

智「さぁ？A次第なんじゃね？」

和「んだそれ(笑)」

“ここまで来て足掻くのやめんの？”って言った俺を

大野さんはﾌｯて大人みたいな笑い方をして

そーじゃねーよって言った。

.

智「足掻いた結果がこうなってんの」

和「ふーん(笑)」

智「おめぇ分かってないだろ(笑)」

和「ﾊﾞﾚました？」

智「んまーあれだ。俺ばっか突っ走ってたかな」

そう言う大野さんは…

笑ってんのに悲しそうだった。

智「とりあえず…連絡してみっか」

和「俺はあなたの味方だから」

高校の時から変わらずね。