『背中合わせの二人 -Satoshi.O-』 Part4 (ページ12)

今日:19 hit、昨日:1 hit、合計:169,945 hit

-42- Oside ページ12

.

◇『店長…煙草の量増えましたね』

智「ん？そーか？」

◇『いや、もう1箱吸い終わりそうじゃないですか』

智「あ、本当だ(笑)」

◇『それにすっごい痩せましたよ』

智「だって…食ってねーもん」

バイトに気づかれるほど…俺って変わったんだな。

煙草は…ずっと吸ってないと落ち着かねぇし

逆に、煙草のせいで食欲はなくなるから

飯もろくに食ってない。

でも…仕事はできてるし

何も問題なんてねーの。

◇『あ……来ましたよ』

バイトの声にすげー速さで顔を上げて

少しだけ照明を暗くしてる玄関を一生懸命見る。

.

○『智さーん!!来ちゃった』

智「んだよ…お前か」

○『お前ってひどくないですか？』

智「まだカフェの時間なんだけど？」

○『だって…あの日から会ってないんだもーん』

あの日…？

あの日っていつだ？

メニューを見ながら、ゆっくり唇をなぞる指に

記憶が戻ってきた。

あーあれだ。

Aと会えなかった日。

酔っ払ってたコイツにキスされたんだっけな。

.

○『こないだの帰りに変な女に会ったんだよねー』

智「は？どんな……どんな奴？」

○『何焦ってんの？』

智「いいから教えて」

心臓がﾊﾞｸﾊﾞｸと脈打って

何も入ってないのに…胃から何か上がってきそうな程

体に緊張が走った。

このままじゃ手の中のグラスにヒビが入んじゃねぇかってくらい

ｸﾞｯと握って…目の前の女の言葉を待つ。

○『どんなって…普通の子だったけど、泣いてた』

智「泣いてた？」

○『どっかで見た事あるような顔してたと思ったけど…』

智「…見た事あんの？」

○『あっ!!ここで智さんと仲良く話してたかも…違ったかな？』

Aだ……。

来てたのかよ。

やっぱり…俺なんかしてたんじゃん。

早く連絡しなきゃいけねーのに

こういう日に限って家に携帯を置きっぱなしかよ。

○『何…その子となんかあったの？』

智「ん？俺の未来の彼女」

○『何それっ!!』

智「大好きなやついるって言ったでしょ？」

○『その子なの…？』

前から好きなやつはいるっつってんのに

なーんで泣くのかね？

俺の指ね…あんたの涙拭うためには使えねぇから。

Aの涙を拭ってやんないといけねーの。