『背中合わせの二人 -Satoshi.O-』 Part4 (ページ2)

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-32- Sside ページ2

週明けの月曜日…

アメリカからの電話に耳を傾けつつも

すげースピードで話されてる英語には集中できなくて

少し離れたデスクを見続けた。

翔「Okay…I'll do it」

早々に電話を切り上げて…

私情なんて1ミリも挟まずに、いつも通り仕事をしてる松潤。

その隣には、当たり前のようにAがいる。

俺の頭の中では…

“あのさ……俺が翔くんの好きな人を好きになったって言ったらどうする？”

ってあの日の飲み屋での言葉がずっと引っかかってる。

.

翔『え……俺の好きな人を好きって』

潤『なんか…守ってあげたくなるっつーかさ』

そんな風に話し始めた松潤の言葉が示す相手は

間違いなくAだ。

潤『あんな子…初めてなんだよな』

翔『……そう、なんだ』

潤『止めるなら今だよ？』

翔『え？』

お互いの恋愛なんて…俺らは全く知らない。

大学の時にどんな彼女がいたとか

最近、告白されたかとか

そういうのは知らない。

だから…明らかに動揺した俺に

“今、翔くんに諦めろって言われたら…間に合う気がする”って

松潤が余裕の顔をして言った。

翔『いや…もう好きなんじゃないの？』

潤『んー気になってるってとこだからさ。止めたいなら今のうち』

翔『……人の恋路を止める気とかないよ』

潤『そ？じゃあ…遠慮なくいくよ？』

翔『それは俺も同じだけどな(笑)』

.

あの時の話はそれで終わった。

俺も同じだとか言ったけど…

結局、俺の中に気持ちはあるにしても

どう動いていいのか分かんねぇ。

それに……きっとライバルは松潤だけじゃなくて

今も会ってるのか分からない智くんもだ。

Aの中で俺が一番になったことなんて

きっと1度もなくて…

それに気づかせないようにして付き合うのが

当時は精一杯だった俺。

今の俺なら…Aに何がしてやれるだろう？

.

○『櫻井…さん？』

翔「ん？」

○『ずっと電話鳴ってますよ？』

翔「あっ……Yes?」

Aにコーヒーを持って行って

隣で楽しそうに話してる松潤に昔の俺を重ねた。

そう…どんなに想ってるヤツがいようが

隣で笑ってあげるのが俺の役目だと思ってたけど

松潤と昔の俺は…一緒のように見えるだけで

松潤の方が上手だった。