cafe and bar MADNESS 5

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「おいしい……みかんだー」

「想像よりみかんだね。すげー甘い」



まるでジュースみたいに甘いので
料理には合わないかと思いきや、
お刺身を食べてからみかんワインを飲むと
柑橘系の香りで後口がすっきりして、
思いのほかおいしい。

サラダにみかんを取り合わせていたり、
蒸し物に緑茶の葉が使われていたり
静岡っぽい料理もおいしくて舌鼓を打つ。

この辺りの海は金目鯛が獲れることで有名らしく、
金目鯛の煮付けやしゃぶしゃぶまで出てきて
おなかも心も大満足だった。



「苦しい……食べ過ぎちゃった」



デザートの寒天とフルーツまでペロリと平らげて、
さすがにおなかがパンパンだ。

食後のお茶を飲みながらため息を吐いた私を見て、
隆二さんは可笑しそうに笑った。

あれだけの量を残さず食べたのに
隆二さんは余裕そうで、すごいなぁと感嘆する。



「いや、俺も結構腹いっぱい。
むしろよく全部食べれたね、A」

「うん……おなかやばい」



まるでカエルのように丸く膨れた
おなかを撫でていると、
なぜかとろけそうな笑みを浮かべた隆二さんに
「可愛い」と言われた。

膨れたおなかのどこが可愛いのだろう。

ただでさえたぷたぷなのに、
食べ過ぎでおなかが出ているのは
みっともないと思って腕で隠すと、
可笑しそうに笑われる。



「丸くなってるの、可愛いじゃん。
Aのほっぺたとか」



おなかだけでなくほっぺたまで丸いと言われて
恥ずかしくなる。

顔を押さえて俯くと、
掘り炬燵の中の足をつんつんされた。



「部屋戻ろ。丸いおなか直接見たい」



そう言われて、後のことを全く考えず
食べ過ぎてしまったことに思い至った。

お仕置きの時おあずけされてしまったけど、
夜はご褒美をくれると言われていたのに。

隆二さんといちゃいちゃするのに
こんな膨れたおなかを見せるのは恥ずかしすぎる。



「やだー……失敗した。
おいしいからって全部食べるんじゃなかった……」

「いいじゃん、おなかのこと気にして残すより
おいしく全部食べる方が全然いいよ。
Aのそういうとこ、好き」



優しく微笑んだ隆二さんにそう言われて、
照れてしまう。

パンパンのおなかを晒すのは恥ずかしいけど
隆二さんが気にしないのならいいか、と
気を取り直してお茶を飲み干した。

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