cafe and bar MADNESS 5

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温泉旅行は、少し足を伸ばして
伊豆まで行くことになった。

箱根や熱海は行ったことがあると言っていたけど
伊豆は隆二さんも初めてらしい。

隆二さんと一緒に
初めての場所に行くのだと思うとうきうきして、
昨日はあまり眠れなかった。



「おはよ。すげー眠そう」



家まで迎えに来てもらって車に乗り込むと、
可笑しそうに笑った隆二さんが私の目元を撫でた。

シートベルトをしながら
楽しみすぎてあまり眠れなかったことを話すと、
「俺も」と甘い声で答えが返ってくる。



「楽しみだね。カピバラも」

「カピバラさん！楽しみ！」



今日はこれから
カピバラがたくさんいることで有名な
動物公園に行って、
伊豆高原のカフェでランチをしてから
旅館にチェックインすることになっている。

「行くよー」と車を走らせ始めた隆二さんに
「お願いします！」と返すと、
ハンドルから左手を離して
頭をポンポンしてくれた。



「眠かったら寝てていいからね」



伊豆まで3時間ほど運転しないといけないのに、
そう言ってくれる隆二さんはやっぱり優しい。

だけど甘えっぱなしなのは忍びなかったので
がんばって起きておくことにした。



運転している隆二さんはサングラスをかけていて
今日もハーフパンツを履いている。

丸見えのふくらはぎも、
Tシャツの袖から覗く腕も筋肉質で
日に焼けていてかっこいい。



「今日はワンピースじゃないんだね」



信号待ちの合間に私を見やった隆二さんが
ハンドルから手を離してするりと膝を撫でてきた。

カピバラさんと心置きなく戯れるために、
今日の私はめずらしくパンツスタイルだ。

いつもはスカートを履いていることが多いので
変かなぁとちょっと不安に思っていると、
それを見透かしたように
「ズボンも可愛い」と言ってもらえて
うれしくなった。

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