cafe and bar MADNESS 2

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「Aちゃんにとって、
俺はマドネスのマスターでしか
ないんだろうな、とか。
お客さんに手出すのは
ダメだよな、とか。
こんな若い子に手出すとかナシだよな、とか。
いろいろ考えたけど、やっぱ好きで……
好きなのを、やめられなかった。
だから、これはAちゃんに
俺のことを好きになってもらうしかないと思って
いろいろアピールがんばったんだけど……」



隆二さんの言葉が意外すぎて、唖然としてしまう。

どうして隆二さんは
私のことを好きになってくれたんだろう。

私なんて、こんなに子供なのに。



「最初は、可愛い子だなとしか
思ってなかったけど……
お友達に振り払われて怪我した時、
意外としっかりしてて
芯のある子なんだなって、分かって。
次の日、お菓子と消毒液とガーゼ
裏口に置いてたでしょ？
お菓子だけじゃなく、消毒液とガーゼまで
用意してくれたこともそうだし、
店の中で渡すのはよくないって
気遣ってくれたんだなって、
なんか、いい子だなって思うようになって」

「……」

「しっかりしてていい子だけど、
なかなか甘えてくんないなーとか。
俺には甘えてくれないかな、とか
思うようになって。
気づいたらこんなに好きになってた」



隆二さんにそう言われて、
うれしい気持ちが満ちてきた。

絶対叶わないと思っていた恋が、叶ってしまった。

信じられないくらいすごい奇跡で、
胸がいっぱいになる。



「……俺と、付き合ってくれる？」



体を離して私の顔を覗き込んできた隆二さんが
少し不安そうにそう聞いてきた。

うれしさを噛み締めてこくんと頷くと、
隆二さんもうれしくて仕方ないというように笑う。



「夢かな？夢かも……」



隆二さんが、私のことを好きになってくれた。

とても現実には思えなくて、
そう呟いてしまう。

すると、笑みを浮かべた隆二さんが
私の顔を両手で持ってぐりぐりした。



「夢じゃねーし」



いつもよりくだけた話し方に、胸がぎゅっとなる。

綺麗な形の目に顔を覗き込まれて、
魅入られたように動けなくなってしまった。

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