cafe and bar MADNESS 2

97 ページ48

「とりあえず、
ヤキモチ妬く
必要なかったっていうのは
分かった？」

「はい……」

「妬いてくれても全然いいんだけど。
可愛いだけだから。
でも可愛すぎるから、ほどほどにして」



やっぱり隆二さんの言葉の意味が分からない。

眉をしかめている私に軽くキスをして、
隆二さんはまたぎゅっと私を抱きしめた。



「……映画だいぶ進んでるけど、どうする？
最初から観る？」



そう聞かれてこくんと頷くと、
隆二さんはリモコンを操作して
映画を最初に戻してくれた。

足の間に私を入れて、後ろから抱きしめてくれる。



「……Aちゃん、いいにおいする」

「そうですか？」

「うん、甘いにおいする」

「甘いにおいは、隆二さんのじゃないですか？」



今日も隆二さんは香水をつけているらしく、
くっついていると甘いにおいがする。

「俺のは、香水じゃん。
Aちゃんのは何か違う」と言って、
隆二さんは私の肩に顔をつけた。



「いいにおい」

「……隆二さんの方が、いいにおいです」

「そう？」

「はい」



隆二さんの香水のにおいは、
甘いけど大人っぽいにおい。

私や友達がつけても、きっと似合わない香りだ。

実際私はこのにおいを知らなかったし、
きっと高級な香水なのだろうと思う。



「後で分けてあげようか？」

「え、いいんですか？」

「うん。会えない時も、
俺のこと思い出してほしいし」



その言葉に、胸がきゅんとした。

香水のにおいで隆二さんのことを思い出すなんて、
すごく大人っぽい行為でどきどきする。

98→←96

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す