cafe and bar MADNESS 2

93 ページ44

「別に寝てもいいけど。
アラームかけてるんでしょ？
起こしてあげる」

「嫌です……もったいない……」



せっかく隆二さんと一緒にいるのに
寝るなんてもったいない。

でも隆二さんの腕の中は心地よくて、
甘い香水のにおいがして、うっとりしてしまう。



「じゃあこっち向いて」



そう言われて、
ぼんやりする頭をなんとか動かして上に向けると
隆二さんはニッコリ笑って軽くキスをした。

びっくりして目を見開くと、
「目、覚めた？」と可笑しそうに尋ねられる。



「半分くらい……」

「半分かぁ。
じゃあもっとしてあげるね」



そんなつもりで言ったんじゃないのに、
それから何度もキスをされた。

さっき帰ってきた時にされたみたいに。

どきどきして苦しくて、
眠気は吹っ飛んだけど息ができなくなってくる。

苦しくなって隆二さんの胸に顔をくっつけると、
隆二さんは体を揺らして笑った。



「息止めてない？
ちゃんと呼吸しないと苦しいでしょ」

「……どうやって、するんですか？」

「普通に鼻で息すればいいんだよ」

「難しいです……」



そう呟くと、「じゃあ教えてあげる」と
甘く囁いた隆二さんが
私の顔をすくい上げるように掴んだ。

またキスをされて苦しくなっていると、
一度くちびるを離した隆二さんに
「……ほら、息して」と囁かれる。



「ん、無理、」

「ふふ、なんで？
口塞がってても、鼻から息できるでしょ？」



大人な隆二さんに、頭がくらくらする。

それから何度も息をする練習をさせられて、
アラームが鳴る頃にはぐったりしてしまっていた。



「時間来ちゃったね。行こっか」



背中を優しくポンポンされたけど、
息をする練習で疲れたのと
隆二さんにどきどきしすぎたのと
離れがたいのとで、ぎゅっとしがみついてしまう。

すると、隆二さんは「可愛い」と囁いて
私の頭の上にキスを落とした。



「そんなんされたら帰したくなくなるじゃん」

「……」

「また明日、迎えに行くよ。
明日はうちでまったりしよ？」



なだめるようにそう言われて、
仕方なくこくんと頷く。

本当は片時も離れたくないけど、
私はまだ子供だから帰らないといけない。



明日もまた会える。

明日もまた、ずっと隆二さんと一緒にいられる。

そう思って、なんとか体を離した。

94→←92

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す