cafe and bar MADNESS 2

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「決めるのめっちゃ早いじゃん。
やべー俺何にしよー」



焦ったようにメニューに視線を滑らせる
隆二さんが可愛くて、笑ってしまう。

本人の言った通り、
隆二さんはそれから散々迷って
ようやくベーグルサンドを選んだ。

セットになっている飲み物も選んで、
店員さんを呼んで注文を終えると
隆二さんが気まずげに「ごめん」と呟く。



「いえ、可愛かったから大丈夫です」



そう答えると、隆二さんは
「可愛いのはAちゃんでしょ」と言いながら
はにかむように笑った。



「ごはん決める時、
いつも迷うんですか？」

「迷うねー……
あ、今日の晩メシ何しよっか。
先決めとかないと、買い出しの時俺絶対迷う」



買い物中に焦っている隆二さんを
想像して笑っていると、
苦笑した隆二さんに頭を小突かれた。

そうされると
私は隆二さんにとって特別な存在なんだと思えて、
うれしい。



「何食いたい？」

「うーん……白いごはん食べたいです」

「あ、和食がいい？うーん、何だろ。
和食といえば魚かなぁ」

「魚いいですね」

「じゃあ魚買っちゃう？」



そう尋ねられて頷くと、
隆二さんもニコッと笑って頷いた。



「煮る？焼く？蒸す？」

「え……うーん、
何の魚なのかにもよりますよね」

「Aちゃん、料理はできるの？」

「お母さんの手伝いくらいなら……」



私は実家から出たことがないので、
食事はお母さんが用意してくれる。

お手伝いなら全然できるけど
自分ひとりで作るとなると
カレーとかシチューくらいしかできない。

そう答えると、
「じゃあ今日は手伝ってもらおうかな」と
隆二さんは楽しそうに笑った。





しゃべっているうちに、
店員さんがエッグベネディクトと
ベーグルサンドを持ってきてくれた。

エッグベネディクトは、
カリカリに焼いてあるマフィンの上に
分厚いベーコンとポーチドエッグと
オランデーズソースが乗っている。

ナイフとフォークを手に取り、端から食べ始める。

卵の味が口いっぱいに広がって、
ベーコンの塩気や旨みと一緒になって
とてもおいしい。

柔らかな卵とカリカリのマフィンが
よく合っていて、舌鼓を打っていると
隆二さんが「ほんとにおいしそうに食べるね」と
笑った。

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