幸福論の定義、否定の権利 ページ10
「ぼくは幸せなんて興味ないですよ」
『連れない子なのですよぉ〜。
………私にとって幸福とは、定められないものなのですよぉ〜』
「幸福論を語る人がいますが、ぼくにはそれが馬鹿馬鹿しく思えます。
だって、幸福なんて人にとって最初は変わらない同じものなんですよ。
最終的に感じ方は違えど、人が最初の頃に感じる幸福はどれも同じ筈です。
それに根本も同じ筈。
人間の三大欲求、何れかが満たされた時、少なくとも人は幸福を感じる筈ですから」
『ん〜。
ちょっと違うと思うのですよぉ〜。
確かに三大欲求が満たされた時、人は満たされる。
けど、それは幸福ではなくて満足感だと思うのですよぉ〜。
沢山食べた時に満足感を得る、幸福だと感じる。
沢山寝た時に満足感を得る、幸福だと感じる。
性的な欲望を満たされ満足感を得る、幸福だと感じる。
それは幸福に直結しているようで、そうではないのですよぉ〜』
「………つまり?」
『私には幸福という問題は難しすぎて、定義はできなかったのですよぉ〜』
「でも、こんな話をするんですから、貴方なりの答えが見つかったのでしょう?」
『答えと言うかぁ、幸せの定義なんて決まっていないという事なのですよぉ〜。
幸福論は個人個人が己の中で考え、見出し、結論づけ、定義のない定理として持つべきなのですよぉ〜』
「………理解出来ませんね、ぼくと貴方とではそりが合わないようです」
『人を否定するのはやめたほうがいいのですよぉ〜。
人を否定する権利なんて、ないのですよぉ〜。
人がそうするのには少なからず理由があり、それは根本的に間違って居なければ、人を否定することなんてできない。
心理的なものには、幾ら確立された理由があっても覆す事は出来ないのですよぉ〜』
「貴方と話は合いませんが、話すのは楽しいです。
今後の参考にできる」
『そうやっておちょくるのもやめたほうがいいのですよぉ〜。
………ほら、チェックメイト』
「………残念ですね」
対戦を終え、嬉しげに笑う陽の手中には黒の
フョードルは親指を噛み始め、黒い髪を揺らして笑う。
「………今回の異能組織の件、ぼくは貴方に提供できる情報は提供しますよ。
約束は守ります」
『あは、よろしく頼むのですよぉ〜』
魔人と狂王の誰にも知られることのない取引は、闇の中で解散された。
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作者名:鸞宮子 | 作成日時:2020年1月12日 16時