写真立て ページ4
「____陽お姉さんってこんなにいい所住んでたんだね」
『早く帰れなのですよぉ〜』
陽の部屋に転がり込んだコナン。
それを見て青筋を浮かべる陽。
どうしてこうなったのか、それは数分前まで遡る____
****
「____あれ?
陽お姉さん、此処に住んでたの?」
『配達員のお兄さん、有難うなのですよぉ〜。
それじゃあ』
首を傾げてくるコナンを態とらしく無視して、玄関の扉を閉める。
が、それは叶わず、扉の縁には小さな手が見えた。
『其処の私の会いたく無い少年と全く同じの容姿の男の子?
私は今物凄く扉を閉めたいので、そのままだと手を挟んでしまうのですよぉ〜』
「あはは、お姉さんが閉めなければいいんじゃないかな?」
両者一向に譲らず、扉がギギギ、と音を立てる。
無論、陽は本気で閉めようとしているわけでは無い。
ただ、本気で閉めればコナンの手が真っ赤に腫れ上がってしまうだろう。
陽もそこまで鬼畜ではない。
『………面倒臭いのですよぉ〜。
居間だけ通すのでぇ、すぐ帰るのですよぉ〜?』
「やったー!」
渋々、扉を開けながら陽は言ったのだった。
****
『用が済んだら早く帰るのですよぉ〜?』
「はーい」
そう言ってコナンは部屋を物色し始める。
とは言っても殺風景な居間にあるのはいくつかの本棚と、引き出しの上にある写真立て程度。
コナンは写真立てに目をつけ、二つの額縁を手に取った。
「これ、太宰さんでしょ?
この前パーティにいた人」
『治君は私の弟の様なものなのですよぉ〜』
「後この人達。
坂口さんは見たことあるけど、この男の人だあれ?」
そう言ってコナンが指差すのは赤毛に無精髭の生えた青年。
整った顔立ちの彼はいつも通りの憮然とした表情で、写真に写り込んでいた。
『彼は、私の古い友人なのですよぉ〜。
………今はもういないですけれどぉ』
「………病気?」
『殉職したのですよぉ〜。
自分の保護していた孤児の仇打ちの為に』
コナンはちらりと陽の表情を伺おうとするが、陽の顔は逆光により見えない。
眩しさに目を細めながら、写真立てを置いた。
____どの写真でも、楽しそうに笑っている陽を見てから。
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作者名:鸞宮子 | 作成日時:2020年1月12日 16時