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意外と意地悪 ページ2

コトリと、陽の自宅にマグカップが置かれる音が響く。

中に入っている液体は黒い液体で、鼻から抜ける様な珈琲の香りがした。

それを作業机に置き、横に散らかっている書き終わった資料を片付ける。

そこに記される文字は、《黒の組織》。





先日のパーティで、異能組織から盗んだ情報。

それに目を通し、安吾に送る為に資料に直筆で纏めていたのだ。

何故、パソコンでやらないのか。

そう思う人もいただろう。





何故ならば、陽は大の機械音痴である。

前にパソコンに触ったら、意味不明な画面がずっと出続け、パソコンから煙が出た。

其れ程に機械音痴の陽。









『____嗚呼、安吾君?
お仕事終わったのですよぉ〜』









《____わかりました、明日取りに行きます。
………要件はそれだけですか?》









電話とメールの使い方だけなんとか覚えた携帯電話を、耳に当て、安吾に資料が纏め終わった事を報告する。

安吾も最初はパソコンを使って欲しいと言っていたが、貸したパソコンが壊れて返ってきたので切実に「ちゃんと紙で書いてくる様に」とお願いした事がある。

安吾が溜息を吐きながら尋ねてきたので、「えへへ」と曖昧に巫山戯て笑った。









《………凄く嫌なのですが、貴方の思っている事が分かってしまいました。
僕達特務課が頼んだ依頼は黒の組織の調査。
調査して得た情報を、此方に渡せば任務完了。
そういう事ですよね?》









『お話が早くてぇ、とっても助かるのですよぉ〜。
という訳で、資料を渡した後の黒の組織については、知らんのですよぉ〜』









珈琲を口に含み、うふふ、と笑う陽。

正直言うと、今回の件に関して陽は飽きが来ていた。

異能力の無い組織など、強力な異能を持ったものの前では塵も同然。

生身の人間が戦車と戦う程に無謀な事なのだ。

電話を切ろうとする陽に安吾は待ったをかける。

その声は心なしか、いつもより自慢気だった。









《そう言うと思いましたよ。
実は、特務課も特務課で仕入れた情報があります》









『………どう言う情報なのですよぉ〜?』









《黒の組織が、とある異能力組織と取引をする情報です》









安吾が電話越しでも、ほくそ笑んでいるのがわかった。

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作者名:鸞宮子 | 作成日時:2020年1月12日 16時

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