2 ページ2
壁を派手にぶち破って現れたヒーローにその人は逮捕され、私は助けられた「もう大丈夫」と笑いかけられた私は、何が大丈夫なのかと、誰が助かったのかと、問いかけたくなった。
私はその後重々とカウンセリングを受けた、
この世界で個性を使った犯罪は重罪だ
彼の犯人はきっと壊れてしまった心のままカウンセリングも受けられずに生きている
終ぞ彼が犯行に及んだ理由についてニュースで伝えられることは無かった。
なにがヒーローか、なにが個性か、一市民だった彼は犯罪者になり、彼を学生時代傷つけた彼らは今日も笑って暮らしているのに！
その頃からこの世界に生きて何かをなすことへの憧れはなく、ただこの社会の中でいかにに目立たず、普通に暮らしていけるのかを考えている。
ただ一つ、懸念があった。
通常であればそのままできるだけ頭のいい高校へ進み大学を卒業してどこぞの会社にでも務めるのだが、
私の個性はとても珍しく、そして有用なのだ。
個性:成功
これが本来の名前と言ってよかろう。
常時発動型ではなく、私が念じれば大体成功する。
この大体というのは私がこの個性を使ったことがほぼないので"必ず"と言えるようなデータが取れてないのだ。
最初は自分のことだしキャパくらいは知っていた方がいいか…？と思ったがそれを試している間に誰かに感づかれでもしたら目も当てられない。
この個性を使用したのは数度。
両親がいなくなってから個性が発現したため、
この数年で五回程度……この五回は絶対に外せないスーパーのタイムセールへと使われた。
しっかり者と呼んで欲しい。
だが恐らく、この個性は
犯罪も、万引きも、殺しも、
人助けも、個性の行使も。簡単にしてしまえる。
大変な個性である。
正しく届けてたら間違いなく公安待ったナシ案件だ。あの隈がすごい人と悪い理由で会ってしまうことになる。
私の個性を、役所には"偶発的幸運" の名前で登録してある。
自分でもタイミングが分からない常時発動型で、そして効果は微々たるものという名目だ。
全くの嘘っぱちだが、問題ない。この数年でも使わないと困る場面は無かったし、割と頭の出来はいい方なようで、テストの時も特に困らないし、個性で合格したって後のことを考えたらきっと困る。
この個性を使って国家転覆を狙うほどの過去も思想もない。
それに、私は健康的なスローライフを満喫することに決めている。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
亜鉛2℃(プロフ) - Esさん» コメントありがとうございます。感想を言って頂けるととても励みになります。描写に気をつけて書いているので本当に嬉しいです。読んでくださりありがとうございます。 (6月1日 19時) (
レス) id: 7a92f90d7d (このIDを非表示/違反報告)
Es(プロフ) - 地の文がすっきりしていて読みやすくて、とても面白いです！主人公の心情描写が分かりやすくて惹き込まれました！応援しています！ (6月1日 15時) (レス) @page8 id: 675c8ca3d2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：亜鉛2℃ | 作成日時：2023年5月31日 22時
