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この世界には、ひとつの区分があるらしい。
持つものと、持たざる者。
ひとつは、人の手で再現不可能な、超常的でサイケデリックな力を持つもの。
もうひとつは、それらを持たない無能むこせいの烙印を押される、持たざる者。
それは差別という明確な言葉で表せる、人間の汚名だ。己が狭量であることの証明で、最たるナンセンスと言って良い。
小学校で教わったのは、最初にその力を持った人の話。光る赤子は、その母は、随分酷い目にあった。
だが暫くして、その特異な力持つ人々が増えた。
人類の手の平返しには全く驚く。
民主主義とは聞こえがいいばかりだな。
多くなったら正義
少ない人間は差別対象だ。
まだ確定していないとはいえ、自分が生きていた時代より先の世界だと思われるこの世界でも、人間的格差で敵味方を決めるような文化のままであると思うと、人間という生物の進歩の無さには涙がちょちょぎれそうな勢いである。
何はともあれ初めまして御機嫌ようと素敵な挨拶をしたい所だ。
名前はAA
年は現在14。
そして…所謂転生者と言うやつだ。
「俺はオールマイトを超えるヒーローになり、高額納税者ランキングに名を刻むのだ！！」
その大きな声と囃し立てるにまた始まったかと思いつつ手に持つシャープペンシルをくるりと回す。
私はこの世界のモブとして生きるつもりだ
命がいくつあっても足りないこの世界では一つ一つの選択で命を奪われることになる。
そりゃ最初は漫画の世界に転生したことに、一抹のワクワク感があったのは事実だが、まだ小さい頃私が巻き込まれた事件、
犯人は個性のせいで学生時代も虐めにあい、就職先も見つからず、お金が無いため犯行に及んだ。
"個性"を持て囃し、尊ぶ世界では個人に合わせた社会保障が充実していない。
涙を流しながら己が憎む個性を行使して人を襲い、金を出せ。と銀行にたまたま来ていた幼子の私を人質にとった。
人がこんなことになるまで、手を差し伸べない社会になんの意味があるだろうか。
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亜鉛2℃(プロフ) - Esさん» コメントありがとうございます。感想を言って頂けるととても励みになります。描写に気をつけて書いているので本当に嬉しいです。読んでくださりありがとうございます。 (6月1日 19時) (
レス) id: 7a92f90d7d (このIDを非表示/違反報告)
Es(プロフ) - 地の文がすっきりしていて読みやすくて、とても面白いです！主人公の心情描写が分かりやすくて惹き込まれました！応援しています！ (6月1日 15時) (レス) @page8 id: 675c8ca3d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亜鉛2℃ | 作成日時：2023年5月31日 22時
