【鬼滅の刃】一妻多夫制の柱さん

弐 ページ8

私も慌てて追いかけると、義勇の日輪刀が空を切ったビュンッという音が聞こえた。


それと同時に分かったことは、鬼がいるということだ。



炭治郎side


視界に突然現れた男から禰豆子を庇うと、男が持っていた刀から空を切る音がした。


そのままの勢いで雪にドッと倒れるのも気にせず、俺は目の前の男を見る。


炭治郎｢(なんだ……誰だ……!)｣


息を切らしながら刀を見つめると、男が持つ刀には『悪鬼滅殺』と彫り込まれているのが見えた。


？｢なぜ庇う｣


炭治郎｢妹だ！俺の！妹なんだ！｣


そう問われ咄嗟に叫んだ。


でも男は眉を顰めるばかりで、見逃してくれそうにはない。


禰豆子｢ガアアッ!!ガアアッ！グアウッ!!｣


叫び暴れ出した禰豆子を慌てて抑える。
禰豆子を見た男は表情を一切変えずに｢それ(・・)が妹か？｣とまた問いかけてきた。
それとは鬼になってしまった禰豆子を指しているのだろう。


炭治郎｢っ………｣


俺が何も言えずにいると、男にあっさり禰豆子を奪われてしまった


禰豆子｢ガアアアッ!!｣


炭治郎｢禰豆子!!｣


助けに行こうとすると後ろからいきなり押さえつけられ、駆け出そうとした反動で雪にドシャッと倒れてしまった。


｢動かないで｣


炭治郎｢っ！？離してください！｣


なんだ？この女の人……!近づいてきたことに全く気付かなかった……!!!


そう言うと悲しそうに表情を歪めてから俺の目を見て女の人は言った。


｢……その鬼は正真正銘君の妹で間違いないの？｣


炭治郎｢……!は、はい「諦めなさい」っ!!なんでっ……!!｣


女の人なら俺の気持ちを分かってくれると思っていた。
この人からは…悲しい匂いがした。少なからず今の俺の状況に同情しているのが分かったからだ。
でも……、男の方は無理だとしてもこの人ならまだ分かってくれるかもしれない……!!!


そう思い俺は必死に叫んだ。禰豆子は違う!!誰も殺してはいない!!絶対に治す!!って。


でも、


？｢治らない。鬼になったら人間に戻ることはない｣


炭治郎｢探す!!必ず方法を見つけるから殺さないでくれ！
家族を殺した奴も見つけ出すから！俺が全部ちゃんとするから！だから！｣


｢……その方法を探している間に、君の妹が人を喰う可能性は充分にある。
だから今私たちが殺した方がいいの｣


そう女の人が言うと、男は禰豆子に向かって刀の刃を向けた。


炭治郎｢やめてくれ!!｣

参→←二年前 壱

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す