【鬼滅の刃】一妻多夫制の柱さん

受け入れ難い真実 参拾陸 ページ47

"煉獄｢俺がその女を無理やり抱いた、と言ったら………………胡蝶は軽蔑するか？｣"


























胡蝶｢…………どういう、事ですか？｣


煉獄さんの口から放たれた言葉はとてもではないが、信じられるものではなかった。


あの煉獄さんが女性を無理やり抱いた？
言い方からして同意も得ずに行った可能性が高い。


でも、煉獄さんはそのような酷いことは絶対にしないと
本人が言った事実を聞いても尚、断言できる自信がある。


なのに何故なんですか。


私には分かりません。


煉獄さんは嘘をつかないのは私含め、他の皆さんも重々承知していることなんですよ？


そんなこと信じたくありませんし、とてもではないが信じられない。


有り得ないのに、その受け入れ難い事実を信じなくてはならないのがとても心苦しかった。


私の反応は煉獄さんにとって予想通りだったようで、
いつもの笑顔を凍らせて聞いた私を見やった後に話を続けた。


煉獄｢俺は数年前、自分の人生で初めて女を好いた。
だがその女は男に興味がなくてな。
愛を伝えても聞いてはくれたが、応えてくれたことは一度もなかった｣


胡蝶｢………｣


私は無言で煉獄さんの話を聞いた。


話し出してからの煉獄さんは苦しんでいるように見えて口を挟むことがしづらく思える。


いつもの笑みは崩していないが、どことなく雰囲気は沈んでいるように感じた。


煉獄｢悔しくて堪らなかった。
俺だけを見て欲しくて、自身の欲に走ってしまうことも多々あったほど……俺は必死だった｣


煉獄さんが必死になっても振り向かない女性。


煉獄さんのような殿方なら、誰でも落ちてしまうでしょうに。


その女性は一体何が不満だったんでしょうか。


煉獄｢だがその女には一人の男が常に傍で寄り添っていてな。
まるで本当の恋仲のようだった｣


胡蝶｢……その男性は女性の傍に居たにもかかわらず、
恋仲ではなかったんですか？｣


煉獄｢あぁ、違った。
その男も異性として見られないことに不満があったみたいだ。
それに関しては同情したが、彼女を譲る気は少しもなかったな。
逆にそれを聞いてから独占欲が強くなってしまって、その男には一時期敵視されたものだ｣


懐かしいと本人は笑っていたが、目は少しも笑っていなかった。


その目は嫉妬に満ちていて、とてもじゃないが直視できる勇気はなかった。


煉獄さんが煉獄さんじゃないみたいで怖かったのだ。

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