【鬼滅の刃】一妻多夫制の柱さん

出会い【冨岡義勇】 ページ40

Aと錆兎との出会いは先生の家に引き取られた時だ。


鬼に襲われ、家族を失い途方に暮れていた時先生が俺を拾い助けてくれた。


裸足で道を歩いたせいで俺の足裏は血だらけで悲惨なことになっていて、
それに見兼ねた先生がおんぶをして運んでくれたのをよく覚えている。


しばらく歩くと山の麓にポツンと建っている一軒の家に辿り着いた。


歩みが進んで家に近づいていった時、家の扉が音をたてて開く。


出て来たのは宍色の髪をした一人の女の人。
そしてそれに続くように同じ髪色をした頬に傷を持つ男の子も出て来た。


冨岡｢(誰だろう……姉弟なのか？)｣


女の人は重そうな水桶を持っていてゆっくりとした足取りで何処かへと水桶を運ぼうとしているようだった。


男の子は女の人の前に立って水桶に手を伸ばし、｢俺が持つよ｣と言う。


それを聞いた女の人は微笑んで男の子の頭を撫でた後、
｢お姉ちゃんに任せて！｣と言って水桶を運び続けた。


残された男の子は拗ねた様な顔をすると歩いてくる俺たちに気づいたらしく、
駆け足で近付いてきた。


目の前まで来ると背負われている俺をチラッと見てから先生に話しかけた。


男の子｢鱗滝さん、お帰りなさい。その背中にいる奴は誰ですか｣


冨岡｢っ…｣


鱗滝｢……｣


当たり前だが、さっきの女の人と話していた時とは違い少し警戒をした視線に射貫かれて思わずたじろいでしまう。


俺の動揺に気付いた先生は赤子をあやすように数回背負い直した後、
男の子に経緯を話し始めた。


鱗滝｢鬼に襲われ、家族を喰われたと聞いてな。
今日から共に住むことになった。歳は同じのようだから、話してやれ｣


そう言われると男の子は納得したように頷いて俺に警戒を解いた目を向けると口を開いた。


錆兎｢俺の名は錆兎。よろしくな｣


冨岡｢と、冨岡……義、勇…………よろしく…｣


歯切れ悪く言うと、錆兎はふっと笑ってまたよろしくと言った。


錆兎とはこれが初めての出会いだった。

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